歌舞伎LA公演:レクチャーと「舞台裏」披露

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 歌舞伎俳優の中村京蔵さんと中村又之助さんが西海岸5都市を巡回する米国ツアーのために来米し10月15日、日米劇場の昼夜2回にわたる公演で2演目を演じた。歌舞伎の歴史、音響効果、女形の役作りを説明するレクチャーを行い好評を博した。隈取りなど独特の化粧方法と衣装の着付けを披露する「舞台裏」も特別に見せ、多くの初めての鑑賞者を「KABUKI」の世界へと導いた。

女形の中村京蔵さん演じる鷺娘。鷺の精は町娘に変身し恋するが、また元の鷺へと戻り苦しみに身悶える(C)松竹株式会社

女形の中村京蔵さん演じる鷺娘。鷺の精は町娘に変身し恋するが、また元の鷺へと戻り苦しみに身悶える(C)松竹株式会社

 中村又之助さんが古典芸能の歌舞伎とその歴史について説明した。1603年に京都で、出雲阿国が念仏踊りを演じたのが起源。新奇な身なりや振る舞いを当時「かぶく」と呼び、名詞化し「歌舞伎」となった。文字通り音楽的要素の強い演舞である。
 音楽の説明では、歌舞伎は三味線、長唄、囃子(太鼓と大鼓、小鼓、笛)を駆使し、これらは「なくてはならないもの」と力説した。各楽器を奏しテンポや高低を変化させたり強弱をつけ、風の音や雨、雷、川の流れなどさまざまな自然現象を表現。各シーンの雰囲気を一層盛り上げる描写で臨場感溢れるステージを演出し、「自然現象や自然の情景をを自在に表現できる」ことを強調した。
 2枚の板を床に打って鳴らす「つけ」は、足音や投石の音など躍動感を表現。劇的感情の高まりを静止したポーズで決める「見得(みえ)」でその効果を最大限に発揮する。見得はテレビや映画のクローズアップ効果があるといい、平仮名の「の」の字を書く。つけに合わせて参加者が見得を切り、全員が歌舞伎役者となり会場は大いに沸いた。
 女形のレクチャーを中村京蔵さんが行い、「男性から見た象徴的な女性像」と説明。女性の体の線を出すことに心掛けており、そのコツを伝授した。上半身は、両肩甲骨を合わせるようにし肩の力を抜き、脇を締めて胸を張り「優しい女性の体の線」を出す。下半身は、内股で歩き「胸を自由自在に使う」ことをポイントとし、模範演技では優しく上品な女性に成りきった。「より女性らしく演じることで独自の芸を極める」と、奥義を説いた。
 2つの演目は、女形の「鷺娘(さぎむすめ)」と連獅子が舞う「石橋(しゃっきょう)」。レクチャーで理解を深めた参加者は見所を抑え、2人の役者と鳴り物が織り成す絶妙なパフォーマンスに酔い、スタンディングオベーションを送った。【永田潤】

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