HICARE:米で被爆者医療セミナー開催、現地医療関係者と意見交換

0

HICARE放射線セミナーを開催した関係者。(前列左から時計回りに)放射線影響研究所の児玉主席研究員、リトル・カンパニー・オブ・メアリー病院のハン院長、広島県医師会の松村常任理事、JCHIの桜井医師、広島県医師会の碓井会長

HICARE放射線セミナーを開催した関係者。(前列左から時計回りに)放射線影響研究所の児玉主席研究員、リトル・カンパニー・オブ・メアリー病院のハン院長、広島県医師会の松村常任理事、JCHIの桜井医師、広島県医師会の碓井会長


 広島県、広島市などで構成される「放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会」(HICARE)はこのほど、広島県医師会の碓井静照会長をはじめ、放射線や原爆に詳しい医師4人を北米に派遣、現地の医療関係者らに被爆者医療についてセミナーを催した。
 初日の3日は、トーレンスのダブルツリーホテルで開催。地元の医師や看護師、また在米被爆者や被爆者検診で協力するリトル・カンパニー・オブ・メアリー病院(マイケル・ハン院長)の関係者ら約110人が集まり、4医師から被爆者医療や放射線障害などについて英語で説明を受け、意見交換した。
「HICAREの活動内容」を紹介する広島赤十字・原爆病院の土肥院長

「HICAREの活動内容」を紹介する広島赤十字・原爆病院の土肥院長

 セミナーでは、広島県医師会の碓井会長が「原爆が広島に及ぼした影響」を説明。続いて広島赤十字・原爆病院の土肥博雄院長が「HICAREの活動内容」、放射線影響研究所の児玉和紀主席研究員が「原子爆弾が人体に及ぼす影響」、また広島県医師会の松村誠常任理事が「過去32年間における北米被爆者検診」について、それぞれ分かりやすく説明した。
 中でも、10歳以下や胎児被爆した人たちが現在70代になっており、原爆投下から64年経った今でも、身体的また精神的不安を抱え、がん発症など後遺症に悩んでいる実状などが紹介されると、参加者はメモをとるなど真剣に聞き入っていた。
 碓井会長はセミナー終了後、参加者の反応に大きな手応えを感じたと述べ、「在米被爆者が多いロサンゼルスやサンフランシスコ、シアトルでセミナーを開催できることに大きな意義がある。医師に放射線被ばくに関する知識がなければ、治療には無理がある」とし、さまざまな研究資料や調査結果を持つ広島が、正しい情報を世界に発信していく必要があると述べた。
 現地での受け入れを担当した日系医療奉仕団体「JCHI」の桜井フレッド医師は、米国内に1000人以上の原爆被爆者がいることに触れ、「彼らの存在やJCHIの活動をより多くの人に知ってもらうとともに、反核を訴えるオバマ政権の下、核兵器の恐ろしさをあらためて認識してほしい」と訴えた。
 在米被爆者を代表し参加した「米国広島・長崎原爆被爆者協会」の据石和会長は、「昔、核実験などで被爆したアメリカ人から電話がかかってきて、『周りに被爆の知識がある医師がいない』と泣かれたことが何度もあり、その度に胸が苦しくなる思いをした」と振り返り、「このようなセミナーを開催することにより、被爆に関する知識をもった医師が増えれば、アメリカ人の被爆者にとっても心強いと思う」と述べた。
 派遣医師団はこの後、シアトルとサンフランシスコでも同様のセミナーを催した。海外でのセミナーは07年のブラジル以来2回目で、北米では初めての開催。
 HICAREは91年、チェルノブイリ原発事故などを契機に設立。世界各地から医療関係者を広島に迎え医療研修を行ったり、広島の専門医師を海外に派遣し講演を行うなど、広島の放射線被曝者医療の知識の普及に尽力とともに、国際協力に努める。【中村良子、写真も】

Share.

Leave A Reply