山野流着装教室:宗家来米し、奥伝伝達ー8人がプロの着付け師に

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奥伝を伝達されプロの着付け師となった8人

 正しい着物の海外普及を目的に活動を開始して今年で4年目を迎える山野流着装教室ロサンゼルス支部は3月21日、センチュリーシティーのインター・コンチネンタルホテルで東京本部から山野正義理事長と山野愛子ジェーン宗家が来米し、奥伝伝達式を催した。同日実施された筆記・実技試験に合格した男女8人に講師免状が授与され、晴れてプロの着付け師となった。【永田 潤】

奥伝を伝えた8人に「弟子を持ってほしい」と呼び掛ける山野ジェーン宗家

 実技試験は宗家が監督し、半襟幅の出し加減など細部にわたるまで審査した。稽古を積んで高度な技術を習得した受験者は重圧の中でも、慣れた手つきで制限時間の20分で着付けを完了させ、全員が合格した。
 宗家は、鏡なしで短時間のうちにきれいに仕上げたと総括。競技会にも出場できるほどの実力者もいるとレベルの高さを評価しながら、残り2分で行う最終チェックが重要とし、垂れ、裾の長さ、襟元、帯揚げ、帯締め、左右の帯の幅などでポイントをアドバイスした。男性3人の合格を喜び、「歌舞伎は男性が着せる」と激励。「これからは、山野ファミリーの一員」と、プロであることの自覚を促し、「着物のすばらしさを多くの人に伝え、1人でもいいから弟子を作ってほしい」と期待を寄せた。
 合格者は、約100人が待つ伝達式に臨み、宗家から奥伝の免状と看板が贈られた。
 山野理事長があいさつに立ち、正式に講師となった8人の前途を祝した。理事長は、伝統の着物文化は親から娘に伝えるべきだが、国の政策により太平洋戦争の終戦1年前からの3年間でもんぺを履かされ、その伝統技術(着付け)が途絶えたと指摘。「伝統美、伝統文化はもろいもの」といい、「日本の伝統美である着物をていねいに教え、アメリカ人に着せてほしい」と希望した。

東京本部から直々に来米しあいさつに立つ山野正義理事長

宗家は、髪、顔、装いに加え、健康美、精神美からなる山野の理念である「美道」を力説し、「日本の着物の美を世界に広げ人々を幸せにし平和につなげてほしい」と述べた。
 理事長と宗家は、ロサンゼルス事務局長で準皆伝の押元末子さんの指導力を高く評価して最大級の賛辞を送った。押元さんはラスベガス在住ながら月に2度ロサンゼルスを訪問し稽古をつけ、3年間で計18人を指導者に育て上げた。押元さんは、「着付け師(18人)が揃い、本格的なショーができる」と喜ぶ。「今後は、チャリティーショーを展開し、着物を広げたい」と抱負を述べた。
 日本全国に支部を持つ山野流だが、試験と伝達式を同日に行う上に理事長と宗家が直々に式に立ち会うのはロサンゼルスだけだという。これほどまでに同支部に期待を掛ける訳を宗家は「よい指導者を育て、正しい日本・着物文化を伝えてもらわなければならないから」と強調。新講師に「弟子の育成を」と願ったのは、「教えることで、自分を磨くことができる」と説いた。

理事長から表彰を受ける押元事務局長

 奥伝を伝達された寺内健太郎さんは、押元さんのプロジェクトを手伝ったのがきっかけで着物の世界に足を踏み入れた。「誰が着ても似合うのが着物」と、魅せられた。着物で生きていこう、と決意し勤務した会社を辞め押元さんに師事。着付けを始めてまだ1年ながら、努力を重ねプロの道を切り開いた。宗家から送られたエール「男性ががんばってほしい」に感銘を受け、能や歌舞伎の着付け師のトップは男性が占めることが励みになるとし、「上を目指したい」と精進を誓った。
 山野流着装教室の詳細は押元さんまで、電話702・510・1839。
 [email protected]
 奥伝の8人は次の通り。(敬称略)
 寺内健太郎、石井宏志、池辺幸代、中川友子、松川麻美、山城あやの、中田千賀子、ニ―ル・アンステッド

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