ジョン・ウッデンの遺産

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 「ウエストウッドの魔法使い」と言われ全米大学選手権10度の優勝へ導いたUCLAバスケットボール部の名コーチ、ジョン・ウッデン氏が99歳の「若さ」で亡くなった。
 UCLAのバスケ部が強いのは、昔東京の映画少年だった頃、ブルース・リーの遺作「死亡遊戯」を見た時から知っていた。
 最後のクライマックスシーンでブルース・リーと闘う背の高い黒人の悪役が当時プロ現役のカリーム・アブデゥール・ジャバー選手でUCLA卒だったからだ。イスラム教徒に改宗前はルー・アルシンダー。2メートル18センチの長身を生かしUCLA在学中は3連覇達成(その後7連覇)。チームは連戦連勝の大学最強だった。
 初めてアメリカに来てUCLAのキャンパスツアーに参加した時、84年のオリンピックでも使われたポーリーパビリオンという体育館に入った。誰もいなかったが、全国大会優勝の大きなバナー(垂れ幕)がいくつも飾られていたのを見た時、威厳、伝統、偉業のパワーに 感動し身震いしたのを覚えている。
 それから5年後、実際にUCLAに入学し、キャンパスのジムに入ると壁にある物体を見た。これがあの有名な「ウッデン・コーチのピラミッド・オブ・サクセス」だ。「FAITH, PATIENCE… INDUSTRIOUS, FRIENDSHIP, ROYALTY… 」など25の言葉は、試合に勝つことだけでなく、人生に勝つためのスローガンである。
 信仰心が厚い中西部インディアナ州で育ち、友達と家族を大切にするシンプルな価値観を持ち続けた。勤勉で地道な努力は、UCLA16年目で全国大会初優勝で開花。教え子たちは成長して社会的責任、家族を持ってからいかにコーチの教えが役立ったか身にしみたと口を揃えて言う。
 高校時代の恋人ネルさんと結婚して1985年没まで53年間連れ添った。天国で彼女と再会できただろう。ポーリーパビリオンのバスケット・コートは敬意を表して『Nell & John Wooden Court』になっている。【長土居政史】

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