平和への願い

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 7月末、宇宙飛行士の山崎直子さんの話を聞く機会に恵まれた。ディスカバリー号に搭乗し、国際宇宙ステーションとのドッキングの際の宇宙での出来事やミッションについてのプレゼンテーションが行われた。質疑応答の時間が設けられ、われわれの宇宙に関する素朴な疑問などに丁寧に答えて下さった。
 そんな中、大変興味深い質問があった。
 「万が一宇宙船内で紛争が起こったらどうするのか」。
 周知のとおり、宇宙船内には世界各国の宇宙飛行士が搭乗している。米国をはじめ、ロシア、カナダ、欧州宇宙機関加盟11カ国、そして日本が協力して建設を進めた宇宙ステーション。万が一喧嘩が勃発したらただ事ではない。地球上ではかつて敵対国で、実際は今でも友好的でない国同士もある。まして地球から高度約400キロメートル離れたところ。逃げたくてもすぐに帰れない。
 はて、遠い宇宙で宇宙飛行士間の紛争が起こったらどうなるのか。みなが首をかしげた。答えはこうだ。
 各国からの宇宙飛行士が搭乗する宇宙船。国によってその法律もさまざま。万が一紛争になり、各国ごとの法律で対処するとなるとさらなる問題を生む。よって宇宙船内で起こった争いに関しては、「訴訟を起こさない」というきまりになっているという。
 なるほど、宇宙はなんと平和なのだろう—。ここ地球上では、人々は殺し合い、毎日多くの人の命が奪われている。われわれは平和を願いながらも、紛争や戦争を繰り返している。宇宙では、地球人の明るい未来のために各国の宇宙飛行士が協力してプロジェクトに取り組む一方、地球では各国が明るい未来とは逆行した争いを繰り広げている。すべての地球人に平和が訪れる日は来るのだろうか—。
 今年の夏、日本は終戦65周年を迎えた。戦争は人々の心に深い傷跡しか残さない。山崎さんは言った。「宇宙から見た地球はとても美しかった—」。いつの日か紛争や戦争のない、「平和で美しい地球」になることを願ってやまない。【吉田純子】

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