JCHI:5看護学生に奨学金、日本語通じる医療の普及へ

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奨学金授賞生。(左から)オズデンさん、金子さん、松本さん、土佐さん、アセベトさん。右端は桜井医師


 日系社会の医療分野にボランティアで奉仕する医師、看護師、医療関係者らで構成される非営利団体「JCHI」(日系コミュニティー・ヘルス・インク、会長=桜井フレッド医師)は12日、活動資金集めを目的とした昼食会をトーレンスのミヤコ・ハイブリッドホテルで催した。
 JCHIは、米国内の医療現場で言語の壁から生じる日本人患者の不安を和らげるため、日本語の通じる医療サービスの普及、日英両語を話すバイリンガルの看護師育成援助などに努めている。その取り組みの一つとしてこの日、米国内で看護師をめざすバイリンガル学生5人に奨学金を授与した。今年で20年目。
 今年の受賞者は、松本彩さん、オズデン・温子さん、土佐亜紀さん、アセベト・ミナさん、金子三美さんの5人。ステージ上で桜井医師から記念の盾と奨学金が授与されると、5人はJCHIへの感謝の気持ちと、看護師を目指す思いを日英両語でそれぞれ語った。
 2005年にガンのため父親を亡くした経験を持つ松本さんは、病院で素晴らしい看護師に出会い、事務職を辞めて看護師を目指したという。「日英両語を生かし、一人でも多くの患者さんをサポートしたい」と述べ、看護師になる道を切り開いてくれた父親に感謝の言葉を述べた。
 仕事で忙しかった祖母と母親に代わり、病気だった祖父の面倒を見てきた経験から、医療関係の道へ進むのは自然な流れだったと話すオズデンさん。「看護師はとても大変な仕事だが、やりがいがある」と、現在は敬老中間看護施設に勤めながら、看護師を目指し学校に通う。
 東京出身の土佐さんは、銀行の出納係として勤めていた時に自動車事故に遭い入院、患者の不安を取り除くという看護師の役割の重要性に気付き、この道を選んだ。日英のバイリンガルのみならず、スペイン語なども勉強しているといい、より多くの患者に優しい気持ちで接したいと気持ちを述べた。
 カリフォルニアで生まれ育ったアセベトさんは、15歳という若さでピアノの指導にあたるなど、音楽界で活躍していた。しかし、ウイティアーにあるプレスバテリアン・インターコミュニティー病院でボランティアを経験したのを機に、看護という角度から人に尽くすことに引かれ、以来勉学に励む。来年には、現在通うロマリンダ大学を看護学士で卒業する予定。
 金子さんは「看護師は、利他的職業の一つ」であるといい、人をサポートする、人の役に立つことに喜びを感じる自身の性格にはぴったりだと述べた。また近い将来、バイリンガルの看護師になりコミュニティーに還元できることを心待ちにしていると礼を述べた。
 この日はまた、2年に一度南加で実施している在米原爆被爆者健康診断でボランティア協力している看護師に感謝状を贈呈した。
 奨学金制度は今年で20年目を迎え、今までに63人のバイリンガル看護学生に授与されてきた。桜井医師は、「その4分の1以上が卒業後に日系社会に戻り、そのバイリンガル能力を生かしてコミュニティーのために働いてくれている」と、日系社会に貢献できている喜びを語った。また、「病気の診断の8割は患者と医師との会話(問診)で行われるため、レントゲンや診察よりも重要」といい、これからも日本人患者の不安を少しでも軽減するため、支援を続けていきたいと意気込みを語った。

エンターテインメントで演奏した「ドリーム・メロディー4」


 参加者らは食後、「ドリーム・メロディー4」による演奏で楽しい午後のひとときを過ごした。
 JCHIは1985年、日系社会の医療分野に奉仕することを目的に設立された非営利団体。日系の医師や看護師、日系諸団体が主となり、日系社会の健康問題を支援している。主な活動内容は、バイリンガル看護師養成奨学金授与の他に▽毎月第3日曜日に日英両語で実施する無料健康相談▽2年に一度実施の在米原爆被爆者健康診断▽大正クラブの健康フェア▽年に4回程度の割合で、専門医による日本語医療セミナーの開催—など。
 詳細はホームページで—
 www.jchi.org
【中村良子、写真も】

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