「高瀬の世界」展:高瀬氏設計の建造物紹介―小東京のランドマークを設計

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10日まで催される「高瀬の世界」展。ロサンゼルス武道館の模型の前に立つ(右から)高瀬さん、ウエムラさん、ワタナベさん

 建築家高瀬隼彦氏がデザインしたビルや寺などを紹介する「高瀬の世界」展が9月30日、日米文化会館のドイザキ・ギャラリーで始まった。小東京のランドマークを含む8つの建物のほか、日米両国で受賞した作品が写真を使って紹介されている。イベントは、小東京歴史保存協会(Little Tokyo Historical Society)が主催し、ポール・テラサキ財団の助成金を受け10日まで開催される。

ロサンゼルス武道館のスケッチと図面

 高瀬氏は渡米した1964年以来、小東京再開発のシンボルとなった鹿島ビルを皮切りに、旧ホテルニューオータニ(現キョウト・グランドホテル)、東本願寺ロサンゼルス別院、ミヤコホテル、リトル東京プラザ、小東京パーキング、小東京ビレッジの2階建ビルなどを設計。さらに、小東京再開発諮問委員会(Little Tokyo Community Development Advisory Committee)委員としても協議に参加し再開発に尽力してきた。現在は小東京に建設予定のスポーツ・レクリエーション施設「ロサンゼルス武道館」の設計に携わっており、作品展にはその模型や図面が披露されている。
 高瀬氏は53年、東京大学工学部建築学科卒業。56年にハーバード大学大学院デザイン学部建築科修士課程卒業。東京の銀座リッカー会館(現ダビンチ銀座ビル)の設計で64年、日本建築学会作品賞受賞。75年にはトーレンスのセイコー・インスツルメント本社ビルの設計が認められ米国建築家協会(AIA)作品賞を受賞した。
 日米の建築界のみならず、地元日系社会でも活躍。2000年秋に勲五等双光旭日章受章、05年は二世週祭パイオニア賞を受賞した。南加日系商工会議所、南加県人会協議会、海外有権者ネットワークLA、敬老引退者ホームなど諸団体で要職を歴任。現在でも理事や顧問を務めている。
 展示初日夜には、オープニングレセプションが開かれ伊原純一・在ロサンゼルス日本国総領事など来賓が祝辞を贈った。総領事は高瀬さんを当初、日系コミュニティーの活動家の1人としてのみ認識し、後に偉大な建築家であることを知ったといい「この展示は、高瀬さんが大物建築家であることと、高瀬さんのデザインしたビルを知るいい機会で重要である」と述べた。

高瀬氏愛用の図面を描く道具

 あいさつに立った高瀬氏は「小東京は第二の故郷である」と力を込め、「さらなる発展のために力を尽くしたい」と述べ、継続したコミュニティーへの献身を誓った。武道館プロジェクトの重要性を説き、「資金集めなど、皆さんサポートをお願いします」と熱願した。
 レセプションの司会は、武道館の建設を推進するリトル東京サービスセンターのビル・ワタナベ所長が務めた。高瀬氏との付き合いは、同プロジェクトがスタートした1994年からだとし、設計者の人選について「小東京を愛し、コミュニティーをよく知るデザイナーに託したかった。タカセさんは、人格もあり適任である」と語った。所長によると、武道館プロジェクトは来年から2年にわたるファンドレイジングを本格化させ、4年後の完成を目指すという。
 小東京歴史保存協会会員で同展示のコーディネーターのナンシー・ウエムラさんは、「ミスタータカセの小東京での建築の業績と社会奉仕活動を知る日系人があまりにも少ない」と説明。展示の開催は周知させることを目的にしたという。テラサキ財団をはじめ、「タカセさんの展示なら喜んで」と日系社会から多くの支援が得られたことを紹介した。
 同展開催を記念し、3日(日)と9日(土)、両日とも午前11時から小東京の高瀬氏がデザインした建物を高瀬氏自らがガイドするツアーが予定されている。 【永田潤、写真も】

レンセプションの参加者ら

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