やっぱり気持ち

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 一雨毎に秋深く、のようなこの頃。
 日曜日に、ロングビーチマラソンに出場する知人の給水に出かけた。メジャーのマラソン参加をめざす彼にがんばってほしいという一念で早起きをした。時折小雨の曇天で、走りにはいい気温だった。記録は、本人が満足するタイムではなかったが、給水場所に間に合うように走り、10マイルもの距離を歩いた。疲れを感じないわけではなかったが、歩いて心地よい汗を流し、仲間と連携して一つのことを成し遂げたという達成感が得られた。
 いい気持ちにさせる気遣いが日本にはある。それがもてなしだと思う。日本のもてなしがうたい文句でオープンしたホテルでのこと、コーヒーをこぼされた。突然降ってきたコーヒーに驚き、腹から足まで熱い上、びちょびちょで帰りたい気分になったが、盛り上がっていた会の雰囲気を壊さないようにとこらえた。黒色を着ていたので、濡らしても気づかれないで済んだが、だからか、一言の謝りもなかった。
 「日本のもてなしの心」も時代とともに、しかも外国での発揮の仕方が変るのはわかる。解釈の違いか、誠意を感じられなくてしっくりしないが相手の考えもあること、それもよし。しかし、いい気分にさせられると、その波及効果は宣伝以上のものになると思う。大変でも達成感があれば、「またやろう」につながるし、雰囲気や接客態度に好感が持てれば「また行きたい」になる。
 いくら文化が違うところでも、真心を込めた態度や真摯(しんし)な姿勢は伝わるものだと思う。海外との商取引を先駆けた人たち、事業を興した人たちの話や書物からも成功のカギはそこにあるように思う。強い思いは相手に伝わるものだと思う。
 長引く不況、人に会えば仕事がないという話になる昨今でも結果最優先の考えがはびこる。それも勝ちの結果ばかり。負けも結果。目先の結果にばかり気を取られていると力をつけられない。いい気分になれる気持ちの掛け合いができるとらわれない時間、物やお金では得られない満足もある。誠意を感じられると満たされた気分になるのは筆者だけだろうか。【大石克子】

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