アンジェリーナの入れ墨

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 18歳から29歳までのアメリカ人女性の36%がタトゥー(入れ墨)をしている—そんなショッキングなデータがある。入れ墨といっても、二の腕とか踝(くるぶし)とかに頭文字とか絵柄を小さく彫るのがファッションらしい。
 ハリウッドで今最もホットな女優、アンジェリーナ・ジョリーのタトゥーはそんな生半可なものではない。
 英国人伝記作家、A・モートンの近著「Angelina」によると、背中、腰、両腕、太腿など13カ所にタトゥーをしている。腰部には今にも飛び掛らんばかりのトラの入れ墨。
 いくらファッションとはいえ、入れ墨がアメリカ社会でまっとうな社会的風習になっているわけではない。が、アンジェリーナの場合、そのことで女優としてのスター性がダメージを受けているという話は聞かない。
 美貌と魅惑的な肢体に加え、徹底した役作りで「セクシーな演技派女優」としての地位を築き上げているからだろう。出演料は一本、一億数千万ドル。豪邸に住み、自家用ジェット機で世界中を飛び回る。それだけなら普通のハリウッド・セレブにすぎない。
 ところが彼女は稼いだカネの一割近くを世界中の難民支援に出す。金を出すだけではない。国連親善大使として危険を伴うアフリカやパキスタンの難民キャンプを訪れ、励まし続けている。難民の子を養子にまでしている。
 「難民の人たちにも生きる権利があることを世界中の人たちは知るべきです。わたしがキャンプを訪れるのはそのためです」
 崩壊した家庭に育ち、酒と麻薬とセックスに溺れ、結婚・離婚を繰り返してきたアンジェリーナ。まさに世界的なベストセラー「ドラゴン・タトゥーの女」に出てくる女主人公リズベットを地で行くような若き日々を過ごした彼女を変身させたものはなんだったのか。
 敗者復活戦OK、実力第一主義。商業本位主義。そして「外の世界に目を向けられる眼力」「無知と貧困に苦しむ人たちへの思いやり」。それらをアンジェリーナに教えてくれたのはハリウッドなのだろう。底知れぬハリウッドの凄みなのかもしれない。【高濱 賛】

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