米国書道研究会:創立45周年盛大に祝う

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日米文化会館前で日米合同書展のリボンカッティングを行う関係者。(左から)生田博子会長、半田俊夫・南加日系商工会議所会頭、三宅明己・米国書道研究会顧問代表、菅野貢輝・国際交流基金ロサンゼルス日本文化センター所長、藤内稔・日米文化会館元会長、渡邊麗・東京誠心社代表(写真=高瀬隼彦さん)


 米国内における「日本書道」の紹介と普及を目的とし、1965年に故生田観周氏と博子夫人によりロサンゼルスで発会した「米国書道研究会」(生田博子会長)がこのほど、創立45周年を迎えた。同会は16日、記念祝賀昼餐会と日米合同書展を催し、約半世紀にわたる歴史を振り返った。書展は、日米文化会館のドイザキ・ギャラリーで31日まで開催している。

日米文化会館のドイザキギャラリーで31日まで催されている日米合同書展


 日米文化会館前で行われたリボンカッティングで幕を開けた記念式典。会場には、日本をはじめ全米各地から来賓や会員、また地元コミュニティーの代表者らが集まり、書を通じた日本文化普及に務めた同会の45年間にわたる功績を称えた。
 ドイザキギャラリー内で行われたデモンストレーションには、産経国際書会専管理事で誠心社審査会員・幹部運営委員の藤平隆仙氏、産経国際書会専管理事、誠心社審査会員・幹部運営委員で山形県民書道会総務の渡部美恵子氏、また産経国際書会副理事長、誠心社代表、誠心社審査会員・幹部運営委員、國井誠海賞選考委員の渡邊麗氏の3人が、書を披露した。
 故生田観周氏の師匠である故國井誠海氏の長女、渡邊氏は、「作品の中に魂を込め、書いたものが皆さまの感動を呼ぶのでは」との思いから、福井県の和紙に「魂」という力強い一文字を披露した。

デモンストレーションで「魂」を書く東京誠心社の渡邊麗代表(写真=高瀬隼彦さん)


 場所をキョウト・グランドホテルに移し行われた祝賀昼餐会では、同会の中村達司理事長が集まった人々に感謝の言葉を述べるとともに、「故生田観周先生と博子先生の長年にわたる指導のもと、日本伝統文化の一つである書道を通し、今後も日米両国の深い理解と友好を促進する次第でございます」と、さらなる飛躍を約束した。
 生田会長は、1952年に戦後初の海外布教師だった日蓮宗の僧侶、観周氏とともに渡米したころを振り返り、「あかあかと、一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり―。燃えるような真っ赤な太陽のもとに、一本の長い道が通っている。それこそが自分の生きる道だという斉藤茂吉の歌に思いを重ねながら、今日までやってまいりました」と時折目に涙を浮かべ、集まった人に感謝の言葉を述べた。
 またあいさつの中で生田会長は、2007年に他界した創立者の観周氏について、「日本を離れ、あらためて日本人の心をテーマに、大学生から小中学生まで、アメリカ社会の一般の方々に広く門を開いた」と語り、「人種のるつぼと言われる米国だからこそ、それぞれ独自の文化が敬愛され、相互理解につながり、友好の絆が保たれることを信じております」と締めくくった。
 式典では、各代表者が同会の長年にわたる功績を称える祝いの言葉が贈られた。
 
ゼロからのスタート
「布教」は観周氏の本能

 
 「開教師だから、布教して回ることは彼の本能。書を学ぶだけでなく、お話を伺いたいと言う人も多かった」―
 米国書道研究会発足当時を生田会長はこう振り返った。
 「今から思うとぞっとするようなスケジュールの中、全米各地のみならず、日米間を飛び回った。当時は不毛の地。ゼロからのスタートだったからこそ、ここまでできたのだと思う」
 米国という異国の地において書道が普及した理由を、「はじめは、こちらに住む日系人の方々が郷愁を覚えたことから始まり、自身のアイデンティティの確立に役立ったのではないか」とみる。「筆の感触、墨の匂い、静かな教室内の安心感…。日系人はきっと、そこから何かを感じ取っていたのだと思う」
 45年という長い年月を経て、同じ道を目指す会員同士の絆は深まっていった。会員歴の長い人から、最近入会した若者まで老若男女が支え合い、励まし合い、「会員が育っていっている」と感じると言う。「45分年前に種を植え、根が張り、枝が伸び、花を咲かせ、実を付けているという感じ」。生田会長は、育てる喜びがあったからこそ、これだけ長い間続いたのだと振り返った。
 「書とは、衰えない感性を磨くこと」という生田会長。現在は、若者育成の必要性を強く感じている。「自分が勉強しなければ、生徒は育たない」をモットーに、今でも日々勉学に励む。
 「口では『もう私は5年も10年も教えられないよ』と言っているけれど、その半面、力のある限り教えてみたいと思う気持ちもある。なんだかんだ言っても、腕が動く限り、そして死ぬまで教え続けるでしょうね」
 米国書道研究会は、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サリナス、ソルトレークシティー、ポートランド、シアトル、アンカレジ、ニューヨーク、ハワイ、また日本は東京、大阪、鳥取にそれぞれ支部があり、生徒数は500人を超える。
【中村良子、写真も】

米国書道研究会創立45周年祝賀会に集まった来賓と関係者ら。前列左から7人目が生田博子会長(写真=ジャック・内藤さん)

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