おばあちゃんと呼ばないで

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  「先生に」
私をおばあちゃんと/呼ばないで/「今日は何曜日?」「9+9は幾つ?」/そんなバカな質問も/しないでほしい
「柴田さん/西条八十の詩は好きですか?/小泉内閣をどう思います?」/こんな質問ならうれしいわ

 これは今年98歳になられた柴田トヨさんが2007年、94歳の時に書いた詩で、彼女の処女詩集「くじけないで」(飛鳥新社)の中の一編です。
 1911年生まれ、92歳で作詩を始め、今年3月に初版を発行、3カ月で七版目が発行されました。今年の夏、日本に住んでいる友人のお兄さんから贈られたこの詩集を、私はもう何度読み返したことでしょう。
 このコラムのために全42編の中からどれを選ぼうかと迷いましたが、一世紀に近い人生の中では辛い悲しい、さびしいことも多かったようで、心を打たれる作品も多々あるのですが、なんだか「力」を戴けそうで、パンチのきいたこの作品を選んでしまいました。
 歳をとると子供に還るなどと一般に言われ、私たちはなんとなくシニアを子供扱いすることで、やさしくしていると勘違いしているところがあるようです。血縁のないシニアを「おばあちゃん、おじいちゃん」などと呼んで親しみを込めているつもりでも、この詩を読んで、案外心の中で「おばあちゃんと呼ばないで」と反発している方も多いのではないかと気がつきました。
 トヨさんの詩は、お医者さんへの抗議ですが、私を含めて周囲の人たちが、多くのシニアを年寄り扱いしていることへの抗議だと、とりました。そう言う私ももうシニアの仲間入りですし、生憎まだ孫には恵まれず、血の繋がりのある孫に「おばあちゃん」と呼ばれることは一生ないかも知れませんが、やはり柴田さんのように他人様から「おばあちゃん」呼ばわりはして欲しくありません。
 もし機会があれば皆さんもこの詩集を読んで、柴田さんから力を戴き、生き方の知恵を戴いてください。こういう戴き物は返済しなくてもいいし、利子も付かないので素直に頂戴することにしました。
 柴田さん、ありがとう。【川口加代子】

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