井村屋USA:アーバインに新工場完成―グローバル化で現地生産

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新工場の完成を祝うリボンカットのセレモニー。左から3人目が浅田・井村屋グループ社長、右隣が伊藤・井村屋USA社長、右端が前田拓・前田園USA社長

 「和と自然の味を生かしたグローバル企業」を目指す一環として昨年、米国進出した和菓子の「井村屋グループ株式会社」(浅田剛夫社長、本社三重県津市)の現地法人「井村屋USA」(伊藤宏規社長、資本金480万ドル)の新工場がこのほどアーバインに完成し1日、関係者と来賓を招いた竣工式が行われた。

アーバインの新工場

 井村屋ブランドの各種冷菓を加工する2万2000平方フィートの新工場。現在は、大福餅3種類(オリジナル、抹茶、しょうゆ)を生産しており、年末年始の本格稼働を目指して最終調整に努めている。大福餅は、製造後約1年間作りたてのおいしさが味わえるという。その次の商品としては、抹茶アイスクリームを製造する予定。すでに販売する他の商品の日本からの輸入は継続する。
 1896年創業の井村屋は、小豆にこだわりを持つ。アーバイン工場で生産する商品は、厳選されたミシガン産の良質の小豆を使用。安全性には特に気を配っており、防腐剤を一切使用せず、素材は天然のみとし、そのほとんどすべてが米国産だという。
 同社の海外進出は中国に次ぎ2カ国目。少子化で国内市場が縮小する中、和食が成長を続ける米国市場に目を向け、さらなる市場拡大を図る。現地生産は、円高ドル安の為替状況も一因だというが、浅田社長は日本国内の不況は米国進出とさほど関係がないことを強調。「中国もそうだが、その国、その土地にお客さまがいるからアメリカに来た」と説明し、旺盛な需要に応える。事業展開する中国では一般に日本食は「日式」として認められており、井村屋はカステラ販売などが好調で、業績を拡大しているという。

新工場で生産を開始した3種類の大福餅

 米国市場ではまず、アジア系が多く住む南カリフォルニアと西海岸から攻め、浅田社長は「『和のスイーツ』の土壌を広げたい」と力を込める。井村屋は日本国内では主力商品の「あずきバー」などが知られ、ブランドイメージを誇るものの米国では無名。だが同社は、お茶とアイスクリームの「前田園USA」と、世界最大の日本食卸売業「JFCインターナショナル」との共同出資会社であるため、すでに物流と受注生産を持っており、浅田社長は「ゼロからの出発ではないので、事業提携の強みが発揮される」と意気込む。
 3社による持株会社設立を提案し実現させた前田園は、抹茶もちアイスなど和風アイスクリームを独自に商品開発し1993年から委託生産し販売開始。96年からはJFCと合弁の自社工場で約30種類を製造していたが、ここ数年は需要に生産が追いつかなかったという。今回の新工場の完成で、製造を井村屋に任せ、原料の抹茶などを供給し自社ブランドを継続させる。
 前田園ブランドのアイスクリーム製造能力は、新工場稼働で一挙3倍増となった。前田社長は「井村屋の参加によりさらなる需要拡大にしっかり応えられる体制が整った」と喜ぶ。「健康志向、グルメ思考による日本的きめ細やかさが自慢のデザートもちアイスへのニーズに応えたい」と抱負を述べている。
 井村屋の米国進出は和食文化の普及のみならず、工場稼働により新たな雇用が生み出された。現在の従業員数は約30人で、増産により50人まで増員するという。竣工式では、井村屋の雇用創出による地域貢献を高く評価して歓迎するスウキー・カン同市市長と伊原純一総領事は「地元経済の活性化が待ち望まれる」と祝辞を述べるなど、「地場産業としての発展」を望む声が多く聞かれ、期待の高さをうかがわせた。
 伊藤社長は「おいしくて繊細な和の食文化を伝えたい」と抱負を述べる。さらに、同社の強みとする原料の小豆については「健康食としてアピールしたい」と力を込めた。
 井村屋USAの詳細は、電話949・251・9205。
 www.imuraya-usa.com/
【永田潤、写真も】

ミシガン産の小豆

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