劇団前進座:「法然と親鸞」と歌舞伎上演

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上演後に伊東輪番(右)から花束を贈られる親鸞を演じた嵐圭史

 日本全国を回る劇団「前進座」のロサンゼルス公演が5、6、7の3日間にわたり、日米劇場で行われた。嵐圭史団長率いる一座が、どれもほぼ満員となる計6ステージで歴史劇「法然と親鸞」と歌舞伎「茶壷」「鳴神」を2回ずつ好演し、日本の伝統文化を伝えた。
 「法然と親鸞」は、法然の800年、親鸞750年の遠忌で上演された。両上人の念仏の声、阿弥陀の本願が平安の末から鎌倉時代初めにかけての日本の夜明けの道を照らす。布教に献身した2人の姿は、会場を埋めた参加者に感動を与えた。
 親鸞に成りきった嵐。「上手く伝わるのか心配」と話していたが、800年前の難しい論理や人間哲学を日常の会話に置き換えて分かりやすく劇を展開した。スタンディングオベーションを受けて「法然と親鸞の思いを共有してもらうことができた」と胸を張った。LA公演については「海外で演じることができてうれしい。やっていてジーンときた」と感慨深げに話した。

隈取などダイナミックな表現を駆使した「鳴神」

 西本願寺の安孫子洋、東本願寺の伊東憲昭の両輪番は揃って「法然と親鸞」を観劇。「すばらしかった。前進座は、よく仏教のことを勉強していて、とても上手く演じてくれ感謝している」と敬意を表した。僧侶の目から見て、各上人を演じた嵐と中村梅之助を評して「板についている」と迫真のパフォーマンスを絶賛した。
 安孫子輪番は「法然と親鸞の出会い」を「縁があったから」と説明し、「日系社会と前進座の出会い」も同じとし「劇を見た人は『ご縁』と『仏教の教え』が理解できたと思う」と述べた。「800年前の法然が蘇った感じ」と表現した伊東輪番。「法然の生き方、謙虚さを上手に伝えてくれた。門徒のみなさんが喜んだのがよかった」と話した。
 狂言歌舞伎「茶壺」は商人、盗人、目代の3人の掛け合いが笑いを誘い、舞踊でも魅了した。「鳴神」は、鳴神上人が雨を降らすという竜神を滝壺に閉じ込めたため日照り続きとなった。困った朝廷が女色を使って上人を惑わす間に封印を解く。上人の激高をわずかな間(ま)の隈取や炎を描いた衣装変えでダイナミックに表現した。
 ファウンテン・バレーに住むマイケル・フィールドさんは、友人のコロナ在住のトム・ミューレンさんと両演目を堪能した。フィールドさんは東京・銀座で、歌舞伎を見たことがあるが、狂言歌舞伎は初めてで「(茶壺は)とても面白く笑うことができた」「2つの劇は時間が短く飽きることなく、リラックスして見ることができた」と喜んでいた。ミューレンさんは、日本語を習っているがセリフの理解は難しく「字幕があったので助かった」とし、「囃子の生演奏と役者の演技がぴったりと合っていた。衣装と背景は豪華、カラフルでビジュアル的にも楽しむことができた」と述べた。【永田潤、写真も】

会場を笑いで包んだ狂言歌舞伎「茶壺」。(左から)目代、盗人、商人の掛け合い

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