障害児の陰で…

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 「親に何かあったら、自分が妹の面倒を見ていくという気持ちがあるから、責任と覚悟を感じている」
 まだあどけなさが残る純粋な目をしながらも、しっかりとした口調でこう答えたのは、18歳の少女だった。彼女には、自閉症の妹がいる。
 「両親は妹に付きっきりで、焼きもちを焼いたこともあったけど、でも、両親が苦労しているのは知っているし、一番大変なのは両親だから…」
 障害児にまつわる話題を取り上げる時、たいてい障害のある人やその子を育てている親にスポットライトが当たる。しかし、そのライトの当たらない陰で、自分の思いを押し殺し、ひっそりと頑張っている子供たちがいる。それが、障害児のいる家庭に育った健常児たちだ。
 彼らの多くは、小さなころから「障害のあるきょうだいを一生守っていかなければならない」と思っているため、実年齢に比べ精神年齢が高いと言われている。その半面、障害児の世話に付きっきりになる両親の下、子供らしく甘えることができず、悩みを相談することもできず、寂しい思いをして育つ子も多い。
 そんな彼らの心をサポートしようと、「手をつなぐ親の会」(=障害児を育てる日本語を話す親の会)内に発足されたのが、「シブリングの会」。18歳の会長を筆頭に、15歳の副会長、16歳の書記、14歳の会計と、同じ境遇に育ったもの同士支え合い、障害者を支援し、障害者と健常者の橋渡し役を担っている。
 「特に悩みを相談し合わなくても、お互い分かり合える部分があって助かっている」。そう話すのは、言語障害のある弟がいる16歳の少年。
 「障害のある弟がいることを恥じたことは一度もない。でも、兄弟げんかができないことはちょっと残念かな」。子供らしい一面をのぞかせた彼の夢は、理学療法士や作業療法士の勉強をし、さらに多くの障害者を助けることだという。
 彼らが将来、社会のリーダーとして障害者と健常者の懸け橋となってくれるのは間違いない。【中村良子】

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