セラピーロボット「パロ」が敬老慰問:開発者の柴田さんは看護師ら対象に講習会 

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パロを撫でてご機嫌の向川さん(左)。右は柴田さん

 セラピーを目的にしたアザラシ型ロボット「パロ」が開発者の柴田崇徳さん(産業技術総合研究所主任研究員)に連れられ12日、リンカーンハイツの敬老看護ホームを慰問した。2匹のパロは愛嬌を振りまき、患者の間で人気を博した。柴田さんは、看護師らを相手にパロの講習会を行った。
 柴田さんは、パロの癒し効果を強調して特徴を説明した。看護師らは、バッテリー(2時間の充電で1時間半作動)や毛の材質などについて質問し、業務で導入した際の患者への効果や安全性に高い関心を示した。
 ロボットといえば、人間に代わり労働するなどのヒト型をイメージするが、パロは鬱病やアルツハイマー病、認知症など、人の心を安らげるコンセプトで開発された。大きさが2フィート、重さは6ポンドで、抱いてちょうどいいサイズ。マイクとスピーカーを内蔵し、言葉をかけたり、撫でたりすると鳴いたり、頭や手足を動かしたりし反応する。聞いたことを記憶して学習するので、ペットを育てる感覚で接することができる。

パロを可愛がる鮫島きくえさん

 犬や馬、イルカなどを使ったアニマルセラピーが知られているが、訓練する時間や費用、世話が掛かる上、動物嫌いや動物アレルギーの人もいて、かんだり、引っかかれたり、病気感染などの危険性も指摘される。一方、パロは優しく、怒ったりせず安全で、電池で動くため、えさや排泄の心配もない。
 パロと施設で暮らす人は、日に日に快方に向かう様子が表情から見て取れるという。入院患者は様子が一変することもある。ずっとうつむいて無言、暗い表情をした鬱病患者は柔和な顔になって、「I love you」と話しかけ愛情を注いで撫でる。叫び続ける感情の激しいアルツハイマー患者は、穏やかになり家族を思いやる話をした例も報告されている。
 パロは敬老で、患者から歓迎を受けた。撫でて抱き可愛がった向川マリアンさんは「優しくてかわいい」とご機嫌の様子。鮫島きくえさんは笑顔で「ナイスボーイなので、ここに一緒に住んでくれればうれしい」と望んだ。
 敬老のショーン三宅代表兼最高経営責任者(CEO)はパロについて「最新の科学のテクノロジーが医療に使われていて意義がある」と述べ、同施設での採用に前向きで「調査をして会議に掛け検討したい」とした。金巻亨子・主任看護師は「2人の患者の反応がよく、笑顔で対応していたので使ったら効果が出ると思う」と話した。
 パロは「世界一の癒しロボット」として2002年、ギネスブックに認定されまた、米FDAからは介護用の医療機器として認められているなど信頼性は高い。米国では1匹6000ドルで販売される。柴田さんはセラピー効果を訴え、医療・福祉施設を回り紹介に努めている。「日本の手作りの文化も理解し、パロを心を込めて使って、効果を喜んでもらうためにがんばりたい」と意欲を示した。【永田潤、写真も】

パロを抱く(右から)三宅CEO、柴田さん、金巻・主任看護師

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