初日の出と初詣

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 東京の元日は素晴らしい快晴に恵まれた。大晦日に紅白歌合戦を見て遅く寝たにもかかわらず、30分前に起きて初日の出を待つ。マンションのベランダから見える東の空に赤みが差し、まだ眠っている街の稜線の上に一筋白く飛行機雲が伸びてゆく。まだ蒼みを残した空には鎌のような三日月。
 やがて稜線の一角が赤く濃くなり明るさが増してゆく。ついに一点が燃えるような赤に変わり、ぴかっと一条の光…。見る見るうちに姿を見せ始めた神々しいまでの太陽は、政治や経済の停滞が続く閉塞感を打ち破るように光り輝いている。その変化の一瞬一瞬を夢中でカメラに収める。全体を光り輝く珠と化した太陽は見る見るうちに眼下に見える街々を明るく紅に染めてゆく。西に見える富士山が赤く染まって雄姿を見せる。ああ、2011年の初日の出だ! 思わず手を合わせ頭を垂れた。
 太陽には特別な思いを持っている日本で見る初日の出は格別だ。万物をあまねく照らし、すべてを清めてくれる。日いずる国の民はひたすら太陽に感謝を捧げてきた。普段の無信心者も他教の信者もお正月には神社にお参りする。お雑煮を祝い、お屠蘇をいただいたあとは近所の神社に初詣。普段はあまり人影のない八幡様に長い石段の下まで行列ができている。みんな晴れやかで笑顔が溢れている。手水で口をすすぎ手を清め、社殿で柏手を打って深々と礼拝。何の願い事よりもまずは一年間の無事を感謝するのみ。少し離れた別の神社ではさらに長い参拝客の列が続いていた。
 お正月、お節句、お盆とさまざまな行事には日常の生活に区切りをつけ、反省をしたり決意を新たにする効用がある。現在のようにすべてが手詰まりの閉塞感に満ちた日本では、だからこそ変化を願うみんなの気持ちが出るのだろうか、例年になく初詣の参詣客が多かったように思える。その願いを込めた2011年、良い年であれと祈るのみ。【若尾龍彦】

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