アジアアメリカ・シンフォニー、被災者救援コンサート開催:復興への願い、音楽に込めて

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ベノア氏(左)のピアノ伴奏・指揮のもと演奏する日系人ジャズサックス奏者のジェフ・カシワ

アジアアメリカ・シンフォニー(テッド・トキオ・田中会長、デイビッド・べノア監督兼指揮)が5月28日、日米文化会館のノグチプラザで、東日本大震災の被災者救援コンサートを開催した。在ロサンゼルス伊原純一総領事をはじめ、ジャン・ペリー市議も訪れるなか、およそ400人の観客を前に、復興への願いを込めた演奏が小東京に響き渡った。
 

日本人建築家で同シンフォニー会長のテッド・トキオ・田中氏

地震発生後に現地入りし、被災地の状況をレポートしたABC7のニュース番組「アイ・ウィットネス」でアンカーを務めるデイビッド・オノ氏の司会のもとコンサートは始まった。べノア氏による指揮のもと、同シンフォニーとアジアアメリカ・ユースがオーケストラで共演。ジャズピアニストの松居慶子、日系人ジャズサックス奏者のジェフ・カシワ、日系人などから構成されたアジア系合唱団グレートフル・クレーンアンサンブル、イースト・ウエスト・プレーヤーズなどのアーティストがボランティアとして舞台に立ち、パフォーマンスを披露した。
 日英両語での「上を向いて歩こう」や「ジュピター」、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」から「誰も寝てはならぬ」など、人々の心を奮い立たせ、希望を与える楽曲が目立った。
 主催者の田中会長は、コンサート開催に向けサポートしてくれた各団体とコンサートに集まった観客に対し感謝の気持ちを述べるとともに、「これだけ多くの人と被災者救援への思いをロサンゼルスでひとつにできたことを大変うれしく思う。われわれの思いはきっと日本に届くはずだ」と力を込めた。
 

被災地に所縁のある4人がこの日顔を合わせた。左からラリー・コリンズ消防司令長、レイコ・サカタさん、鵜浦真紗子さん、佐藤叶さん

岩手県大船渡市で育った同会長の妻・鵜浦真紗子さんは、地震当日、訪れていた気仙沼市で被災した。九死に一生を得て再びロサンゼルスの地を踏んだが、「あの時、とっさの判断を誤っていたら、今こうしてこの場にいられなかったかもしれない」と、生と死の狭間で体験した壮絶な体験を語る。
 愛する人の安否が分らない時が流れ、かけがえのない人を失うかもしれない恐怖を体験した田中会長だからこそ、被災地で悲しみや苦しみをこらえ、頑張っている人々に向ける思いはひとしおだった。
 会場には実際に大船渡市で被災し日本からこの日訪れていた佐藤叶さん、大船渡市と釜石市で救援活動を行ったロサンゼルス郡消防局レスキューチームのラリー・コリンズ消防司令長、これから被災地に赴き復興支援への参加を検討しているレイコ・サカタさんの姿があった。 
 「コンサートを通して、すべての人が被災者を応援しているという思いで『つながった』」生還を果たした今、真紗子さんは「与えられた生命を被災者のために役立たせたい」と熱い思いを口にする。
 現地で「津波の威力と恐ろしさを目の当たりにした」というレスキューチームのコリンズ氏は、余震が続きいつ建物が崩壊するか分らない状況の中、決死の生存者の捜索活動を行った。10日間の滞在中で生存者を見つけることは出来なかったが、現地では日本人の諦めない強さ、人を思いやる助け合いの精神を見たという。1年、2年と月日が流れても被災地のことを忘れず、これから起こりうる問題にも協力して取り組むことを呼び掛け、継続的支援の重要性を説いた。
 コンサートで集まった義援金と同シンフォニーからの寄付の合計2万5000ドルは、同シンフォニー理事有志が今年の秋、日本の被災地に直接届ける計画を検討している。また同シンフォニーのホームページでも10月まで、義援金募集を行なう予定となっている。【吉田純子、写真も】

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