アメリカの真珠、その後

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 以前、「アメリカの真珠」という本を紹介したことがあるが、ご記憶の方はいらっしゃるだろうか。
 知人の結婚式があって、初めてハワイへ行った。イメージしていたハワイとは少し違った。日本のゴールデンウィークというのに、日本からの観光客も大震災の影響だろう、少ないようだった。ワイキキの海水は温かかったが、雨・風・雷に見舞われた。通り雨的な雨ではない。嵐のようだった。
 一日だけ、ハワイ島コナを訪ねた。「アメリカの真珠」に登場する人たちが住んでいる地に行ってみたかったからだ。
 空港から出て左側はリゾート地に開発されていたが、右手に上っていくと現地の生活が垣間見れる。実は住所も分からないが、行き当たりばったりで出かけた。空港の案内所で、だめもとで「てしまレストランにはどう行ったらいいか」と尋ねた。「コナの人なら誰でも知っている」と地図を示して教えてくれた。こんな簡単に分かるなんて幸先がいいと気をよくして向かった。
 突然の訪問にもかかわらず快く迎えてもらった。目指すメリーさんは、今年1月までは毎日レストランに出ていたという。今月104歳になるメリーさんの姿を見つけた客人は、声を掛けに寄ってくる。レストランのメニューや味だけでなく、人柄が引き寄せてこれだけの人気があったのだと一目で理解できた。とても品のあるレディーだった。
 いわゆる新一世のリンダさんは、コーヒーの検査官でタイへコーヒー栽培の指導に派遣された一人だった。闊達かつきびきびした彼女の動きは、自分の置かれた立場に順応して現在に至っていることを示していた。
 彼女が、コーヒーの説明に連れて行ってくれたファームに着く頃は、雨がひどくなって台風に遭ったようだった。普通じゃないと彼女も言った。普段何気なく飲んでいるコーヒー。良質のコナコーヒーができるまでのことがわかった。
 クリーニング業を営みながら、豪快な笑いとともに日本からの人たちを援助してきたウォリーさん。皆、パワフルだった。もう、みまかっている人もいたが、今なお、真珠は輝きを失っていなかった。【大石克子】

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