在北米被爆者健診:広島から医師団来米、原発事故で放射線の説明も

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18日に行われた健診で、松村医師に血圧を測ってもらう更科さん(左)


キノコ雲の写真を見せながら被爆体験を語り、世界平和を訴えるASAの据石会長


 広島県医師会を中心とする派遣医師団(医師6人、スタッフ4人、松村誠団長)がこのほど来米し、18、19の両日、北米在住の被爆者を対象とした「在北米被爆者健康診断」をトーレンスのプロビデンス・リトル・カンパニー・オブ・メアリー病院で行った。同健診は1977年から隔年で行われ、今年で18回目。
 一行は17日、健診に先立ち同病院で記者会見を開いた。現地で健診の支援をする日系医療協会(JCHA)の桜井裕会長が在北米被爆者健康診断の歴史やその重要性を訴えると、松村団長が「被爆者の高齢化が顕著となっているが、健診を待っている人が一人でもいる限り続けていく」と力を込めた。
 続いて「米国広島・長崎原爆被爆者協会(ASA)」の据石和会長と更科洵爾副会長が、自らの被爆体験、健康への不安を語り、集まった人々に世界平和を訴えた。

あいさつに立つJCHAの桜井裕会長。後列は(左から)松村団長、ASAの据石会長と更科副会長


 今年は、東日本大震災の福島原発事故を受け、放射線に関する質疑応答の時間も設けられた。米メディアからは、原子爆弾による被爆と、原発事故による被ばくの違いや、被ばくした人の健康管理についてなど質問があり、放射線影響研究所の陶山昭彦医師は、「爆発で瞬時に大量の放射線が広がった原子爆弾と、低量の放射線がゆっくりと漏れている福島原発事故とは被ばくの種類が違う」と説明。その上で、「福島のように、長期間にわたって低量の放射線に被ばくした人への体の影響はまだ調査結果がなく、長期的な観察が必要」と話した。被ばくした人の健康管理については、喫煙などにより健康リスクが高まることを指摘。「健康的な生活を心がけることが大切」とした。
 プロビデンス・リトル・カンパニー・オブ・メアリー病院は、広島県を通じて福島原発事故による被災者救済支援2万5000ドルを送っており、席上、広島県知事から送られた感謝状が同病院側に手渡された。
 18、19両日に行われた健診では、約130人の在米被爆者が血圧測定や血液検査をはじめ、心電図や子宮ガン検診、問診などを受けた。79年から毎回健診に訪れているトーレンス在住の女性(82)は、「被爆者を診察したことのある医師に日本語で診てもらえ、大変心強い。わざわざ日本へ行く必要がなく、地元で診てもらえることに感謝している」と述べた。
 09年に行われた在北米被爆者健診の結果によると、同年10月現在、北米には被爆者が計1161人(米国32州、カナダ2州)おり、うち加州が739人で最多、次いでハワイ州の197人で、平均年齢は78・9歳となっている。【中村良子、写真も】

ロサンゼルスに派遣された医師団とJCHAの桜井裕会長(前列右から2人目)。後列右端が放射線影響研究所の陶山医師、その左隣が松村団長

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