南加岐阜県人会:「ハッピー」に100周年記念、さらなる発展を誓う

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創立100周年記念祝賀会に集まった岐阜県人会の会員と関係者(前列右から9人目が水谷会長)

奥田サム元会長(中央)の音頭に合わせ乾杯する(左から)岐阜県日米協会の河合常務理事、岐阜県の水野正敏県議会議員、松村多美夫県議会議員、渡辺県議会議員、安福総合企画部長、水谷会長、伊原総領事、二村実行委員長、日商の半田会頭、県人会協議会の比嘉会長

 1911年発足の南加岐阜県人会(ハッピー・水谷会長、会員80家族、二村信次・100周年実行委員長)は28日、創立100周年を祝う記念式典をトーレンスのミヤコ・ハイブリッドホテルで盛大に催した。会場に集まった来賓、会員および関係者165人は、100年にわたる歴史を振り返り、さまざまな苦難を乗り越えた先人会員らにあらためて敬意を示すとともに、同会のさらなる発展を誓った。 【文・写真=中村良子】

 

 式典には、岐阜県から安福正寿・総合企画部長、渡辺真・県議会議員、岐阜県日米協会の河合雅子・常務理事をはじめ8人が出席。地元からは、9月に日本帰任が決まっている伊原純一・在ロサンゼルス日本国総領事、日系社会の各リーダーや県人会の各会長、またニューヨークやデトロイトなどの岐阜県人会からも多数祝福に駆けつけた。
 祝賀会では、戦前に夢を抱いて新天地アメリカへ渡り、異国文化の中での苦労や困難、また戦争や差別などを乗り越え、同郷同士助け合いながら現在の岐阜県人会の基礎を築き上げた先人らを称え、彼らが残してくれた「祖国を思う気持ち」「同郷人を思いやる気持ち」をこれからも持ち続け、次世代に伝え広めていこうと団結した。
 同イベントが県人会の行事として最後となった伊原総領事は、さまざまな素材(=人種や文化)が混ざり合った「サラダボール」と言われる米国社会で生きていくためには、アメリカの生活になじみながらも自身を見失ってはいけないと述べ、「日本人や日系人が祖国と結びつきを保つことは大切。県人会はまさに、その懸け橋的な役割を果たしている重要な団体」と説いた。さらに、岐阜県の人にもアメリカで活躍する岐阜県民の存在をもっと知ってもらいたいと力説した。

「やっとかめ」合言葉に
若者の海外進出を支援

 安福・総合企画部長は、古田肇・岐阜県知事からの祝辞を代読。知事は祝辞の中で、「一世紀に及ぶ長い歴史を刻んできたのは、水谷会長をはじめとする歴代の会長および会員の尽力のたまもの」と同会の歴史に敬意を示し、「今後も引き続き日本および岐阜県との懸け橋となってもらいたい」と言葉を贈った。

あいさつに立つ南加岐阜県人会の水谷会長

 渡辺・県議会議員は、同記念式典に参加することを機に初めて同会の歴史やアメリカ日系史を知ったといい、前日に視察した全米日系人博物館では、「移民の歴史、収容所の様子、アメリカ兵として戦った日系人部隊、また戦後の日系アメリカ人の活躍を勉強させてもらった」と感銘を受け、「これを機に周りの人にもこの歴史を広め、今後さらに南加岐阜県人会と友好関係を築き、『やっとかめやのう』(=岐阜の言葉で「久しぶり」)と言い合える機会を作っていきたい」と述べた。
 多くの祝辞を胸にあいさつに立ったハッピー・水谷会長は、100周年を迎えた今、同会がすべきこととして①先輩方が作られた歴史を次の世代へつなぐ②海外に興味のある若者たちを支援③岐阜県人会にかかわるすべての人を「ハッピー」に―の3点を掲げ、支援と協力を仰いだ。さらに、地元意識が強いと言われる岐阜県民に対し、「海外にも目を向けてほしい」と声をかけ、海外に興味のある若者の支援にも率先して取り組みたいと意欲的に述べた。

 

苦難乗り越えた先人称え
次世代に伝え広める

岐阜県から感謝状が贈られた(右から)林さん、西村さん、二村さん、北岡さんの代わりの渡辺県議会議員。左端は古田知事の代わりに授与した安福総合企画部長

 式典では、日米の懸け橋として活躍した北岡義和さん、二村信次さん、西村佳代さん、林茂さんの4人に県から感謝状が贈呈された。また県人会の発展に尽力した故柴田一夫元会長と故鬼頭和一元会長の2人には、県人会から感謝状が贈呈され、水谷会長からそれぞれの家族に授与された。
 同会は東日本大震災発生以来、「Pray for Japan」と題した義援金集めのための活動を行っている。水谷会長はこの日、これまでに集まった義援金2515ドルを安福・総合企画部長に手渡した。
 会場には、岐阜県各務原市にある創業120年の小町酒造株式会社から五代目蔵元の金武直文さんが、自社ブランド「長良川」の2種「スパークリングにごり酒」と純米吟醸「天河」を振る舞った。「にごり」は炭酸のスムーズさがあり、軽い甘さで定評。一方の「天河」は上品な香りとスムーズな飲み口が特徴で、酒コンクール「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)で入賞している。

自社ブランド「長良川」の純米吟醸「天河」を振る舞う小町酒造株式会社五代目蔵元の金武直文さん(左)

 金武さんは、「日本酒は日本文化と一緒に売っているので、アメリカの地で岐阜の文化を広めてくれた先輩方に感謝の気持ちを込めて今回は祝賀会に参加させてもらった」と感謝した。
 また、「日本のシンドラー」として知られる岐阜県出身の杉原千畝氏を描いた短編映画「Visas and Virture」(クリス・タシマ監督)と、ドキュメンタリー映画「Conspiracy of Kindness」(ダイアン・ビカリ監督)が会場で紹介され、それぞれの監督があいさつ。同氏の素晴らしさを紹介した。
 会場では、ジャズピアニストで作曲家のアーク佐野さん率いる「アーク佐野トリオ」によるジャズ生演奏が祝賀ムードを一層盛り上げた。

 

貴重な経験胸に帰国
青年NY遊学支援事業
岐阜県の船戸さんと松田さん

青年NY遊学支援事業に参加した船戸さん(左)と松田さん

 岐阜県に在住、または通勤、通学している18歳から30歳までの人を対象に、1カ月間ニューヨークでの夢の遊学を支援する事業。(社)岐阜県青年育成県民会議が08年から行っており、今年は南加岐阜県人会の100周年に合わせ、遊学生は南加にも立ち寄った。
 今年選ばれたのは、岐阜ダンシングハート東京ワタナベエンターテインメントスクールダンス講師の船戸千登美さんと、KLMオランダ航空客室乗務員の松田亜希子さん。
 小学5年生からダンスを始めた船戸さんはこの1カ月、ブロードウエーダンスセンターでレッスンを受けながら、本場ブロードウエーを鑑賞、オーディションにもチャレンジした。緊張していた時、励ましてくれた日本人ダンサーとの出会いも印象深かった。本場では、「自分を全面に出して表現する大切さ」を学んだといい、帰国後は経験を生かし、さらにダンスの道を究めたいとした。
 06年からヨガを勉強している松田さんは、インドの伝統的な栄養学「アーユルベーダ」を勉強した。日本ではエステやスキンケアとして知られているが、本場では食生活から改善して健康を維持する栄養学としてとらえられており、1カ月間でその基礎を学んだ。帰国後は、ヨガやアーユルベーダの本来の意図を理解した上で、日本人に合うようアレンジして広めていきたいと話した。

 

南加岐阜県人会の歴史

 南加日系商工会議所が1956年に発行した「南加州日本人史」によると、1911年1月発足。しかし活動内容はあまり残されておらず、南加県人会協議会が発行した35周年記念書物には「1915年、会長に小坂礼二氏を迎え会員20家族で発足」とある。太平洋戦争勃発により一時解散したが、戦後再開。02年には、駐在員らを中心とした岐阜クラブと戦前からある岐阜県人会が合併し、現在の岐阜県人会に至る。
 世界には、南加をはじめブラジル、アルゼンチン、ボリビア、ペルー、ハワイ、香港、ニューヨーク、メキシコ、上海、タイ、デトロイトに岐阜県人会があり、南加の歴史が一番古い。
活動は、新年会、ピクニック、ボウリング大会、ゴルフ大会のほか、「Pray for Japan」を目的とした無料太極拳クラス。今後は、海外に興味のある若者たちの支援なども力を入れていく。
 同会の連絡先は、水谷会長まで、電話310・483・9936またはメールで―
[email protected]

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