地元紙で提供呼び掛け
寄付発案した萱森さん
着物の寄付は、新潟を拠点に活動する津軽三味線と越後ごぜ唄の継承者、萱森直子さん(www.echigo-gozeuta.com)の発案。日本での元同僚で、IVCで教える清地恵美子さんからの震災の安否確認の電話で被災者支援の方法を話し合ううちに意気投合し、寄付を思いついた。
さらに、地元新聞の新潟日報の協力で紙面で着物の提供を呼び掛けた。新潟は、中越沖地震など大規模な震災を幾度も経験しており、被災者の苦しみが分かるだけに電話が鳴り止まないほどの反響があった。萱森さんは1人で対応できず、2日間で募集を打ち切ったほどだった。
寄付者の中には、被災者もいるという。避難所生活を強いられたり、家族や知り合いと連絡が取れず泣きながら「少しだけど役立ててほしい」という提供者もいた。
萱森さんは、震災の自粛により公演中止が相次ぎ、キャンセル料だけが入ったことに「出演してないのに」と心を痛め、着物を詰めた計27箱の送料(約25万円)を全額負担した。清地さんは「萱森さんと支援について話し合っているうちに発展してこういう寄付になった。1人ではできないことをみんなに助けてもらってできるようになった。ありがたい」と、他の支援者や購入者に感謝する。
着物や浴衣など500枚
各種イベントで販売
集まった着物は、使ったものから新品まで500枚近くに上る。振り袖、帯、浴衣、羽織などと種類もさまざまで、価格は商品により違い、浴衣20ドルから振り袖150ドルまで。上等のものはオークションに掛け、売り上げを伸ばしている。
販売は、IVCの日本語科の教師陣とジャパンクラブ(日本語の自主勉強会)が中心に行っている。6月半ばから開始し、売り上げは約3800ドル。二世週祭などの各種イベントでブースを出したり、口コミで広まり買い求める個人も多いという。日系の女声合唱団「グレースノート」のメンバーも着物を買い、10月の発表会で着物を着て歌うといい、被災者支援と同時に日本文化の普及に一役買う。
IVC、長期の支援へ
「売り切れるまで頑張る」
IVC日本語学科主任で募金活動の代表を務める石井文子さんは、被災者支援を今後も継続し、長期にわたって行う意向を示す。着物の販売については「売り切れるまで、焦らず根気よく続けて頑張りたい」。萱森さんの意志を尊重して、日本語教師たちが着物を着て教壇に立ったりキャンパス内を歩くことで「日本文化の普及につながればいい」と希望する。
ヤマハ音楽教室を経営する藤田喜美子さんは、教室を提供し販売に協力する他、自らも二世週祭など各種イベントのブースで着物を売っている。「アメリカ人に浴衣を着せて喜んでくれるのが、うれしい。着物の募金活動を周知させてできるだけたくさんの人に買ってもらいたい」と意欲を示す。
着物の販売は今週末、ヤマハ音楽教室(アーバイン、24日午前10時から午後1時半)、日米文化会館の「オータム・フェスト」(ノグチプラザ、24日午後6時から9時)、オレンジ郡日系協会の「敬老感謝の集い」(アナハイム、25日正午から午後4時)の3カ所で行われ、他でも予定している。
着物や浴衣の寄付を呼び掛けている。詳細は石井さんまで、電話949・798・9355。
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【永田潤、写真も】