マネーボール

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 映画「マネーボール」を見た。2003年に出版された同名の本に基づく映画化だが、大変興味ある内容である。
 ブラッド・ピット演じる主人公ビリー・ビーンは、メジャー・リーグ球団オークランド・アスレチックスのゼネラル・マネジャーだ。しかしNYヤンキースとは違い、年俸の高いスター選手の補強は出来ない。そこでアイビーリーグ卒の、徹底したデータ分析を基盤に統計学理論を推すピーターと出会い、低予算で戦略的に使える選手たちを集め、勝てる球団を作り上げて行く。2000年代の初期には、地区では常に1、2位の成績で、4年連続プレーオフ出場を成し遂げた。
 球団代表の視点で描いた作品は珍しい。ベテランの監督やコーチたちは、野球は数字ではなく精神力や度胸が大切だ、と説きビリーと対立。昔ながらの価値感も心底では理解するがゆえに元選手としては大成しなかったビリーの葛藤がよく伝わってくる。
 自分も野球少年だったが、選手たちの契約金や年俸、それにまつわる論争などピンとこなかった。プロスポーツは、ビジネスとして厳しい世界であると大人になって理解できるようになった。
 そもそもこの野球理論は、1970年代のセイバーメトリクスが始まりだ。新たな野球分析方法を提唱したビル・ジェームズが自費出版した本である。缶詰工場に警備員として勤める彼は、野球のデータ分析を趣味で始めた。当時は誰からも相手にされなかったが、毎年改訂版が出され82年にはベストセラーにもなった。
 既成概念や定説を打破して、回りの反対にもめげずに斬新な方法を生み出したビリーの努力、勇気そして実践させた決断力が素晴らしい。
 ただ皮肉なのは、他の球団がこの理論を採用し始めたため、アスレチックスはやや低迷気味だ。ここ5年間はプレーオフにも出場できていない。来年は、おそらく再び在籍するだろう松井選手に期待して応援しようと思う。【長土居政史】

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