共同貿易レストランショー:日本食の大衆化を促進―過去最多の84社、1700人参加

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イカの捌き方を教えるブース

 日本食総合卸売業、共同貿易(山本耕生社長)が主催する業者向けの食品見本市「日本食レストランショー」が15日、小東京のロサンゼルス本社で開催され、1700人を超える来場者で賑わった。日本をはじめ国内外から過去最高となる84社が参加して自社商品の試食・試飲、新製品の販売を促進し、レストランの経営者や投資家、料理人らは業界の最新の情報収集と意見交換に努めた。
 23回目を迎えた今年のテーマは「日本食の大衆化促進」。これまで、すしや懐石、鉄板焼きなど、高級料理に引っ張られ、イメージを高めてきた日本食。その後の健康ブームにも乗じて、豆腐や海藻、魚介類なども多く食べられるようになり伸び、業界では高い地位を確立。都市部ではフレンチやイタリアンに迫る勢いを見せている。

和州牛のたたきの試食共同貿易

 これら西欧の高級料理にはない、豊富なメニューや庶民から富裕層までが楽しめる幅の広さが日本食の強みである。ファイン・ダイニングと呼ばれる高級店から庶民の居酒屋、テイクアウト店に至るまでのラインナップ。さらに、すし、うどん・そば、ラーメン、しゃぶしゃぶ、焼き鳥、お好み焼きなど専門店があり多くの人種の客で繁盛するのも特徴だ。
 ラーメンやたこ焼き、おむすびなど一般庶民が食べる日常の料理は近年、日本で見直されている。いわゆる「B級グルメ」として注目を集めており、共同貿易ではこれらを積極的に取り入れ、地方に赴いて研究・調査を重ねているという。レストランショーでは、めん類をはじめ、さまざまな料理の調理法と食べ方、焼酎カクテルの作り方とおいしい飲み方などを紹介し大衆化を促進した。
 「日本食は将来、アメリカ人の食文化のメインストリームに育つ」と強調する山本社長。その理由について、ラーメンや焼き鳥などが身近な日本食として浸透していることを指摘し「このような大衆化は日本食の底辺を広げ、日本食全体を押し上げていく」と説く。その傾向は、大都市から地方の中核都市へと広まり全米に波及していくとし、その先には欧州、中南米、世界につながると見る。同社はこの流れに沿って販売戦略を立てているという。山本社長はさらに「日本食は二極化する」と展望。大衆食と高級食が並行して全米、世界に広まっていくといい、日本産のプレミアム米や地酒、四季折々の厳選食材など高級食にも従来通り力を注ぎ、時代に合わせた多種多様の需要に応える構えを示した。
 和食ブームに乗って2005年に北米進出した福島県の蔵元「大和川酒造」(本社喜多方市・佐藤弥右衛門社長)は、国内販売する約30銘柄の中から北米では主力ブランド「弥右衛門」(純米大吟醸と大吟醸の2種類)1本に絞り、マーケティングを展開する。ブースで自社ブランドの売り込みに努めた工場長で杜氏でもある佐藤和典さんは、すし、刺身、天ぷらなどの日本料理に合わせたおいし飲み方を紹介。試飲者からは、常温や冷や酒、熱燗のどの温度にすればいいのかを聞かれ「業者相手の試飲会なので、みんな真剣に飲み比べて鋭い質問が出る。まだまだ、売り込む余地がある」と手応えを得た様子だった。同社は東日本大震災で被災し、物的・人的被害はなかったというが、原発事故の影響で「風評被害に悩まされた」と話す。佐藤さんは原料の酒米も地元で生産しており、福島県産のすべてのコメの安全性がこのほど確認されたことを喜び、再起へ向け気持ちを新たにした。

包丁の研ぎ方セミナー

 農水省から出向する松本修一領事は「アメリカ人は、すしのロールなどを日本食と意識しないで自然に食べているようだ」と話し、大衆化を実感するという。ラーメン屋の前で長い時間並んで待つ人々の光景を見ては「もっと長い行列を作ってほしい」と、さらなる大衆化を願う。その一方で、韓国料理店の追い上げを気にする。高級食のない韓国料理は、すしや懐石などと競合はしないが、ビビンバや鍋料理などは安い上に野菜などが豊富に入っていて栄養があるとし将来、大衆和食店のライバルになるのではないかと、予想。「差別化を図り、日本食の優位性を保つイメージ作りをした方がいい」と提唱した。
 共同貿易の金井紀年会長は、23回毎年続くレストランショーについて「時代の流れを反映している」とし、伝統的、フュージョン、高級、大衆いずれのビジネススタイルにせよ「現場(同イベント)に来ないと分からない。ここは日本食の専門家が集まる情報の発信・交換の大事な場」と開催の意義を力説。「日本食のマーケットは世界にある。売るチャンスは無限に広がる」と力を込め、各メーカーの奮起を促し「日本国内に留まることなく、世界に出てほしい。アメリカに来なければ話は始まらない」と、世界の日本食のトレンドは米国が発信源であることを強調した。
 正しい日本食文化を伝える目的で22年前に始まった同イベント。このように共同貿易は、商品をただ売るのではなく、文化として根付かせることに努めており、食の品質維持・向上には特に気を配る。すし学校を持ち板前を養成、人手不足の和食界に貢献するほか、地酒・焼酎人気に応えては、正しい知識を身につけたソムリエを育成している。今年のレストランショーでも、包丁研ぎや地酒・焼酎、超低温冷凍魚などのセミナーを開き啓蒙に努めた。
 同社の詳細は、電話213・626・9458。
 ウェブサイト―
 www.lamtc.com
【永田潤、写真も】

米国人参加者に試飲を勧める福島県喜多方市の「大和川酒造」の佐藤和典さん

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