新たな可能性探求し創作:和紙造形家の伊部京子さん、LACMAで11月28日まで展示

0

日本館に展示されている伊部さんの和紙の作品

 京都を拠点に創作活動を続ける和紙造形家の伊部京子さんが9月22日、ロサンゼルス郡美術館(LACMA)で、和紙と琵琶演奏や習字、能楽などの日本文化を融合した舞台「Washi Tales」を披露した。同美術館の日本館で11月28日まで展示会が開催され、和紙の新たな世界観を堪能することができる。
 舞台「Washi Tales」では影を使った光の演出が加わり、光を当てた和紙に浮かびあがる人の影が暗いステージに幻想的な空気を漂わせ、観客を惹き付ける。
 「和紙は光に照らされた時にもっとも美しく光り輝き、その魅力が効果的に引き出される」そう語る伊部さんは、舞台照明が引き出す和紙の可能性に期待をかけた。
 舞台同様、同美術館に現在展示されている作品もすべて手作り。今は使用されていない和紙の復元や、サエザルアサ(粗い繊維を細かくした麻)、コウゾ(障子にも使われる一般的な和紙)、ポリエステルの和紙などを使い、30年間の創作活動で蓄積した技術の集大成が展示作品には注ぎ込まれている。素材によって光の出方も違うため漉き元の協力も大きかったと振り返り、空間に和紙の美しさが際立ち迫力すら感じられる。
 展示会に訪れていたエンシノ在住の日系4世ステファニー・オクムラさんは、和紙を見るのは今回が初めて。「習字の時に使用する和紙を想像していたが、日本の古典的な和紙を現代風にアレンジしてひとつの作品にしているところが興味深い」と語り、作品一つひとつを丁寧に鑑賞していた。
 「私は和紙の伝統の保持者ではない」そう断言する伊部さんは、和紙の持っている可能性を引き出し新しい手法で表現するのが自身の使命だと訴える。インスピレーションに従いコスモポリタンな作品を創作したいという情熱が根底にある。
同美術館のホリス・グダル日本美術部次長は過去に2年間京都に在住し、日本文化への造詣も深い。今回の展示について「伊部さんのアプローチは従来のものとは異なり、古典的な和紙を斬新なアイデアでモダンな作品に作り上げている」と述べ、創作への取り組みを称賛した。
LACMAの開館時間は月・火・木曜が正午から午後8時まで。金曜が正午から午後9時まで。土日が午前11時から午後8時まで。水曜休館。
入館料は大人15ドル、シニア10ドル、学生10ドルとなっている。【吉田純子】

さまざまな素材を使った和紙が空間を埋め尽くした舞台「Washi Tales」の一場面

Share.

Leave A Reply