バンク・トランスファー・デー:65万人が信金に口座移す

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 全米各地で5日、大手銀行が導入する手数料の徴収に反対する運動「バンク・トランスファー・デー」が実施され、ロサンゼルスでも反格差社会デモ参加者らおよそ30人がダウンタウンにあるバンク・オブ・アメリカ(通称バンカメ)やチェース、ウェルズ・ファーゴの前でデモ行進を行った。
 「バンク・トランスファー・デー」の発起人となったのは、ロサンゼルス市エコパーク在住のギャラリー経営者クリステン・クリスチャンさん(27)。バンカメがデビットカードで買い物をした顧客から月5ドルを徴収する計画に反対していたクリスチャンさんは、インターネット交流サイト「フェイスブック」で預金を大手銀行から信用金庫に移すよう人々に呼び掛けた。
 この呼び掛けに多くの人が賛同し、クリスチャンさんが立ち上げたフェイスブックのページにはおよそ8万人が登録。5日を「バンク・トランスファー・デー」とし、ロサンゼルスのみならず全米各地で大手銀行の口座を解約する運動が行われ、銀行前ではデモ行進も行われた。
 信用組合全国協会(CUNA)によると、バンカメがデビットカードの5ドルの手数料徴収案を発表した9月29日から少なくとも65万人の顧客が信用金庫に口座を移し、その額は約45億ドル(約3510億円)にのぼるという。これを受けバンカメは今月1日に導入を取りやめた。
 ニューヨーク市で9月下旬に始まった反格差デモは長期化する失業や広がる経済格差への強い不満を反映し、全米規模の動きへと拡大。経済格差問題は、来年の大統領選でも大きな焦点となりそうだ。
 反格差デモは「99%運動」とも呼ばれている。巨額の富を独占する上位1%の大富豪がさらに豊かになっていることへの不満を示したもので、街頭デモでは「われわれは99%」などと書かれたプラカードが目立つ。
 実際、米議会予算局(CBO)の報告書によると、1979年から2007年までの間、上位1%の大富豪の税引き後所得の伸び率が275%に上ったのに対し、全米平均では62%増にとどまっている。 特に下位20%の所得は18%しか伸びておらず、CBOは「米国民の所得は過去30年間で著しく不平等さが増した」と指摘している。
 また、米国勢調査局によれば、貧困者は4618万人で過去最多となり、全人口に占める割合も15・1%に上昇した。貧困層の世帯年収は4人家族で、年収2万2314ドル(約174万円)以下とされる。
 所得格差をもたらす大きな要因の一つが、長期化する失業問題。金融危機以降、800万人以上の雇用が失われたが、その後の雇用者数の増加は200万人にすぎず、失業期間も平均で40週間に及び戦後最長となっている。特に若年の失業率は極めて高く、若者が反格差デモの原動力となっている。
 オバマ大統領はデモに理解を示し、富裕層への増税を繰り返し呼び掛けてきた。失業問題の打開策として、総額4470億ドル(約35兆円)の雇用対策法案を提示したが、野党・共和党の反対で審議入りを阻止された。大統領は、富裕層への増税や雇用対策法案に反対する共和党をデモ参加者の「敵対勢力」と位置付けようとしている。
 しかしながら、デモ参加者の間からは「オバマ大統領には失望した」との声も多く聞かれる。保守派市民運動「ティーパーティー(茶会)」がおおむね共和党支持なのに対し、反格差デモは政治運動とは一線を画している。先月25日と今月2日に行われたカリフォルニア州オークランドのデモでは参加者が銀行の窓ガラスを割るなどして多数の逮捕者や負傷者が出ており、社会混乱をもたらすとの懸念も出始めている。
 全米のなかでもっとも抗議活動が穏やかとされているロサンゼルス市庁舎前でも4日、女性2人が逮捕された。1人はテントのポールで男性の頭を殴った容疑、もう1人は他の参加者の服に火を点けた容疑。
 また加州リバーサイド郡でも6日午後、リバーサイド市庁舎近くでテントを張り抗議活動を行っていた参加者に警察側はテントの撤去を要請。これを拒否した参加者に対し、警察は強制撤去に踏み切り11人が逮捕される事態となった。 

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