【ぴーぷる】 世界で活躍する日本人シェフの 松久信幸さん

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1949年、埼玉県生まれ。日本食を世界に広め、その独創的な料理は「ノブスタイル」とも称される。

 「仕事に対して情熱を持ち、常に全力で取り組めばいつか必ず道は開ける」
 松久信幸さんは全世界に29店舗の日本食レストランを展開する日本人シェフだ。
 1987年にビバリーヒルズに「Matsuhisa」を開店して以来、日本食の域を超えた料理は世界中の食通を魅了してきた。現在のビジネスパートナーで俳優のロバート・デニーロも松久さんの料理の虜になったうちのひとり。
 開店当時の25年前、生の魚は「生臭い」という認識をもつ人が多かった。そこで生魚への抵抗感を消すため、刺身に少しだけ火を加えサラダと共にドレッシングを掛けて食べる「刺身サラダ」を考案。瞬く間に大ヒットメニューとなった。「ネーミングが大事なんです。サラダやドレッシングといった言葉なら米国人にも馴染みがあり抵抗なく食べてもらえる」。「新鮮なものは生臭くない」という認識はこうして定着し、現在ではウニやひかりものを食べる米国人も増えた。
 各店舗で地元の食材、調味料を使い、日本料理の調理法で素材の持ち味を最大限に引き出す。日本食の原点「うま味」も「より深く理解することで、さまざまな食材との組み合わせの良し悪しが分かるようになる」と訴える。
 「少しでも日本のコミュニティーの役に立ちたい」。拠点はLAだが1年のうち10カ月は世界中の店舗を周る多忙な松久さんだが、日本のことをあまり知らない日系4、5世の子どもたちが増えていることを受け、「日本の食文化や、包丁の持ち方など、日本のルーツを教える取り組みもしてみたい」と力を込める。
 「料理人だけでなく、どんな職業にも忍耐が必要。壁にぶち当たってもすぐに答えを求めず、一歩、一歩進んでいって」。その努力の積み重ねが、現在の松久さん自身の姿なのだろう。【吉田純子、写真も】

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