スターたちの死因は

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 ウイットニー・ヒューストンが死んだ。享年48。
 若くして逝くことを夭折という。ある意味で年齢に関係なく、可能性を多く秘めた器がその力を十分出し切らないうちに、あるいはまだまだ前途洋々といわれながら世を去ったら、やはり夭折と言うべきだろう。
 はっきりした死因はまだ発表されていないが、やはり薬物が関連しているようである。古くはエルビス・プレスリー、そしてマイケル・ジャクソンが他界したのは3年前のことである。
 アーティストとはいえ、才能のある新人が現れれば、何時スターの座から追われないとも限らない人気商売だけにプレッシャーも並のものではあるまいし、芸能界の人間関係が複雑なことは、想像に難くない。そこからの逃避が自殺行為にも等しい薬物の乱用でありアルコール依存である。
 ウイットニーの歌の中で、スーパーボウルの開会式で歌われた米国国歌が一番好きだったと言えば笑われるだろうか。しかしあの豊かな声量を、誇りに満ちた伸びやかな歌声を支えていたのが忌まわしい薬物だったとは…。
 懐かしい歌や映像がニュースとともに流され、ファンの悲しみもさらに深くなる。母親を残し、娘を残し、ファンを置き去りにしていったスターの死が悼まれる中で、何か少し違っているような気がする。
 花と涙と有名人たちの弔辞にあふれた野辺送りもよいが、彼女がどうしてそのような死に方をしなければならなかったかが、もっと取り上げられなければならないと思う。
 死者に鞭打つつもりはないが、当事者がスターであれば、薬物の乱用もその死を以って許され、それ以上追求されることがないとしたら、特に社会的常識が大きくずれてきている今日、若者だけでなく社会一般に、間違ったメッセージが届けられているような気がする。
 こんなことを書けばファンから袋叩きに遭うかもしれないが、エルビスもマイケルも、そしてウイットニーも、社会の一員としてみたとき、決してヒーローではなく、弱い一人の人間でしかなかったのではないだろうか。
 こんな形であたら有能なアーティストたちを喪いたくない。 合掌 【川口加代子】

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