親切な日本人

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 最近、電車の中で席を譲られることが多い。せっかく立った人が、いいえ大丈夫ですとか、もう直ぐですからとか断られバツの悪い思いをしている場面も見かける。私の場合は疲れてなくても気持ちよく応じ、きちんとお礼をいうことにしている。降り際にもう一度ありがとうと言えば双方が気持ちよい。
 そんなある日、空席のあった家内の隣合わせの席を私に譲った幼い姉弟は、残った席を交互に譲り合って立ったり座ったり、見ているだけで微笑ましい。お礼に家内が折った赤い唇の折り紙を渡すと早速それを使って遊ぶ。普段から仲のよい姉弟なのだろう。
 またある日、外出から帰ると小銭入れが見当たらない。夕方電話が鳴り、立ち寄った近所の郵便局に置き忘れていたという。よかったらついでだからご自宅に届けましょうかと親切な申し入れ、届けてくれたのは局長さんだった。顧客サービスとはいえここまでやるのかと驚いた。
 エアチケット購入体験もその一つ。出発間際に駆け込んだ羽田の案内窓口では、私を見て65歳以上ならシニア空割りがあるからマイレージバンクの申込書を持ってゆけという。チケットカウンターでは時間がないので名前と生年月日だけで仮登録してくれ3分の1の値段になった。申込書はあとで余白を記入しポストに投函すればいいのだそうだ。
 正月早々四国の松山へ出張。高知からの帰りは予約を取ってない。帰り便でチケットカウンターの女性係員は「出発までにまだかなり時間がありますね。B社ならもう少し早い便がありますよ。よかったら聞いてきましょうか?」。その女性はなんと遠くのB社のチケットカウンターまで走って聞きにいってくれた。「あと2席だけ空いていて会員でなくても空割りも適用してくれるそうです。急いでいってみてください」という。
 日頃熾烈な競争関係にあるA社とB社である。ここまで親切にしてもらってもいいのだろうか、と余計な心配をしながらB社のカウンターに急いだ。
 私は急に高知への親近感を覚えA社が大好きになった。親切な人が増えたのは大震災で人々の思いやりの心が強くなったのだろうか?【若尾龍彦】

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