竹久夢二伊香保記念館

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 群馬県伊香保温泉を数年ぶりに訪れた。上野から日本海に向かう特急で2時間弱走ると、ちょうど本州の真ん中あたりの渋川駅に到着する。そこからさらにバスで20分程走ると伊香保温泉街だ。
 戦国時代に負傷した兵士たちを療養させるため温泉街が形成され栄えた。440年前だ。
 当時に出来たと言われる石段(2010年、365段に増えた)を一歩一歩のぼると歴史の重みが感じられる。上りきった所に伊香保神社があり、そこから眺める山の景色は素晴らしい。
 その自然の素晴らしさに癒されたアーティストがいた。竹久夢二である。竹久夢二伊香保記念館を訪問すると、数多くの彼の作品をはじめ、明治、大正時代の家具や照明器具、ステンドグラスなどさまざまな美術品が展示されている。建物内外の演出には、和洋が融合し始めた当時のデザインが感じられる。 オルゴールの自動演奏も聴いた。室内に響き渡る力強い音楽であった。
 夢二は数多くの美人画を描いた。柔らかな曲線を描くスレンダーな体にふと寂しいような優しい表情。なんともいえない叙情的美しさが溢れ出てくる独特の画風である。色彩もあでやかだ。夢二はまさに大正ロマンを代表する画家だ。
 大衆受けする商業美術のはしりとも言われ、詩、歌謡、童話も創作した。近くの榛名山や湖をこよなく愛した。そして昭和6年には欧米への視察の旅にも出かけた。
 夢二が伊香保を知るきっかけは、伊香保在住だったある一人の少女ファンが送った手紙からという。なんともロマンチックなエピソードだ。
 館長である木暮氏ともお会いし、短時間ではあるが、お話を伺うことができた。館長著書の「館長のひとり言」を購入しサインも頂いた。美術館設立の夢を果たし、これだけの貴重な芸術品を集め続けている館長の夢二に対する熱意には感服する。夢二のロマンとオーバーラップしてしまう。
 素晴らしい庭園もあり、見応え十分な美術館だ。ガイド付きの案内で大正時代の雰囲気が楽しめる。従業員の対応もとても親切で、機会があればぜひ一度訪問されることをお勧めします。【長土居政史】

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