悪文 跋扈する

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 〈陸上のジャマイカ選手権最終日は1日、キングストンであり、男子200メートル決勝で19秒19の世界記録を持つウサイン・ボルトは19秒83で2位に終わった〉。
 7月のある日のウエブ版朝日新聞にあった一文だ。「最終日は…あり」。なんとひどい悪文だろう、これは。
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 たとえば(誰が一位になったかを書かないという手抜きは責めないことにして)「ジャマイカのキングストンで開かれていた(同国)陸上選手権で、最終日の1日、男子200メートル決勝(レース)が行われたが、自分が持つ19秒19の世界記録を更新するのではないかと期待されていたウサイン・ボルトは、19秒83の平凡な記録で、2位に終わった」とは書けなかったのか。
 もっと簡単に「1日に最終日を迎えたジャマイカ陸上選手権(キングストン)の男子200メートル決勝で、19秒19の同距離世界記録を持つウサイン・ボルトは19秒83の(平凡な)記録にとどまり、2位に終わった」とすることもできた。
 「200メートル決勝で…の世界記録を持つ」もおかしい。「男子200メートル決勝で、19秒19の」と読点を打っておくべきだった。
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 困ったことに、右の例のような無様な記事は朝日新聞だけに見られるものではない。政治、経済、社会、論説…。分野を問わず、どの報道機関ででも頻繁に見られるのだ。こんな程度の、前後のつながりがまともにつけられない〈脳〉で、世の中の複雑な動きをちゃんと把握し、正しく報道できるとは、とても思えないのに。
 日本人の大多数が、上記の朝日新聞のような日本文を良しとするような粗雑な頭だったら、世界に向かって誇ることができる品質の工業製品はとても製造することができないだろう。世界を納得させるような意見を発信することも絶対にできないだろう。
 日本語力の、底なしの低下。実に深刻な問題だ。【江口 敦】

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