日米文化会館年次会合:市民ら前館長問題など追究

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13日に行われた公開年次会合で、理事を前に意見を述べるNCRRのキャシー・マサオカさん(手前)

 

理事の謝罪と今後の対策を機に前進したいと話した元同館職員のモリタさん

 日米文化会館(JACCC)理事会(サンディ・サカモト議長)は13日、年次会合を同会館で開催。ビル・ワタナベ暫定CEO、デボラ・チン暫定COOらが同館の現状や今後、予算、新館長の採用などについて説明した。
 グレゴリー・ウィリス前館長の辞任を受け、この日は同館の今後に懸念を抱いた市民100人以上が集まり、同館の年次報告に耳を傾けるとともに、理事会メンバーを前に質問や思いを伝えた。
 サカモト議長は、参加者や従業員など多くの人に感謝。「(同館が)ミッションに向け正しく運営されているかを確認する義務がある理事として、一連の騒動には責任を感じている」とし、「JACCCがより強く成長できるよう、皆さんの意見から学びたい。提案や支援、意見、懸念にオープンです」と話した。
 アーティスティックディレクターの小阪博一氏が年次活動報告を行った後、今年採用されたキース・シオザキ副館長が、安定した資金源として会館のリースに力を入れていくとあいさつした。

人事問題と職場環境を改善

 チン暫定COOによると、同館には従業員のパーソナルポリシーや明確な職務内容が存在しなかったことから、これを機に人事部を創設したことを報告。公正さを高めるため、同部には理事以外の外部の人も配属され、6カ月おきに従業員から意見を集めるシステムを作る。
 参加者の1人で、日系人の公民権や補償を訴える団体NCRRのキャシー・マサオカさんは、「一連の事態は同会館だけでなく、日系社会全体にとって注意を促すものだった」と述べ、辞めた従業員に連絡を取り、退職時の状況が正当なものだったのか、また復職の意思があるのかを聞くべきと意見した。これに対しチン氏は、一部の従業員には連絡をしたが、現在のところ返事はないとした。
 同館に今年まで勤務していたウォルター・モリタさんは、1月から4月までは最悪な職場環境だったと自身の経験を振り返った。同氏は「理事の謝罪と今後の対策」を機に気持ちを切り替え前進したいとし、「コミュニティーとともにJACCCを良くしていけるよう支援したい」と話した。

寄付頼りと財政難を説明

日米文化会館が直面している厳しい財政状況について説明するチン暫定COO。右はワタナベ暫定CEO

 昨年度の収入概要によると、同館の収入の37%が団体や個人からの寄付、36%がレンタルリース、11%が資金集めイベント、5%がプログラム活動、4%が投資、3%がその他、2%が会員の会費、2%が年々減少する政府からの助成金となっており、収入の多くを寄付金に頼っていることが分かる。
 また、赤字だった07年以降、08、09年と黒字計上した会館だったが、10年でほぼ損益なしとなり、11年以降2年間にわたって赤字に転落。日米劇場にいたっては、設立当初から毎年赤字状態が続いていると報告した。
 同館が抱える負債は08年から11年の間に200万ドル前後を行き来している。また過去4年間にわたり、毎年50万ドルを寄付してくれていた個人寄贈者との契約が昨年で終了したため、現状のまま寄付に頼った経営では、今後さらに厳しい状況になると説明した。これら詳細は、IRSの990フォームで一般に閲覧可能となっている。
 説明を聞いた地域社会活動家のモウ・ニシダさんは、これら収入のうち、理事が同館にもたらしたのはどの程度なのかと疑問を投げ掛け、「理事は資金集めにも責任がある」と意見した。これに対しサカモト議長は、寄付は理事になるための必要条件であると述べ、多くの理事は寄付のみならず、資金集めのために動いていると強調。しかし改善の余地はあると述べた。

12月20日に新館長発表

 CEO人選には雇用斡旋業者を使わず、理事会内に人選委員会を設立。委員長には、今年理事に任命されたジェフ・フォリックさんを選任した。同氏は敬老をはじめ、オレンジ郡仏教会の理事を務めるなど日系社会に精通しており、娘のエミリーさんは今年の二世週女王に輝いている。
 フォリックさんによると、人選委員会には理事7人に加え、理事以外の2人を含む計9人で構成され、これ以外に履歴書を調査、面接などに加わるアシスタント3人により選考するという。
 今月9日に締め切られた採用には14人の応募があり、現在8人に絞られた。今後、さらに5人程度に絞り、面接を経て最終選考に進む2、3人を選出。コンサルティング会社による身元調査の後、12月20日に新館長を発表するという。
 参加者のロドニー・カゲヤマさんは、「今後の方針は素晴らしいが」と前置きした上で、「過去の過ちをきちんと知らずして、前に進むことはできない」とし、前館長採用の過程などの説明を求めたが、法的理由などから明確な回答は得られなかった。
 さらにNCRRのマサオカさんは、前館長採用時の基準と現在の違いを質問。サカモト議長とフォリック人選委員長は、前回は同館の財政状況からビジネスや経営分野に長け、起業家精神のある人材を求めていたが、今回は経営力のほかに人を大切にし、日本のアートの知識を持つ人という基準が加わったとした。

会館一部売却の可能性も

 ワタナベ暫定CEOは、多額の負債を抱えた現状をあらためて説明した上で、「会館すべての部屋を貸し出すことができれば月3万ドルの予備収入になる」とし、今後は非営利、営利、日系、非日系、ビジネス、アート系にかかわらず、レントを支払ってくれる入居者に積極的に貸し出していく必要性を訴えた。
 さらに、会館の立地条件などから将来的には会館の売却なども視野に入れていく可能性もあると示唆するとともに、数日前に会館購入のオファーがあったことを明かした。まだ理事会内での話し合いが行われていないため詳細は避けたが、ワタナベ氏は、1世から2世、3世、4世といった時代の移り変わり、また武道館建設後JACCCでのイベント開催が減少する可能性なども踏まえ、「JACCCの今後の役割を見直す時期にきている」とし、今後、理事会がどのような判断を下すか現段階では未定だが、コミュニティーに理解を求めた。
【中村良子、写真も】

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