ドアの向こうにいる仲間

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 精神障害者の家族を支援する目的で、全米精神疾患患者家族会(NAMI)のサウスベイ支部内に日本語による家族支援グループが発足したという記事を、昨年12月19日に掲載した。
 日系をはじめアジア系コミュニティーの多くでは、周囲の目を気にして自分や家族の悩みを外に打ち明けることに抵抗を感じる人が多く、カウンセリングや支援グループなどが普及しにくいと言われている。
 しかし、記事の掲載後に2人の読者から電話をいただいた。1人の女性は、「もう限界だったんです。他に相談できる場もなく、精神的にぎりぎりのところで、正直1人でどうしていいのか分かりませんでした。日本語で相談できるなんて、感謝しています」と喜んで電話を切った。
 今までに、アルツハイマー病や知的障害者、交通事故で子供を亡くした親の会、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー家族会など、さまざまな日系支援グループを取材してきたが、どの会も明るく、同じ立場や悩みを持つ仲間同士、前向きに気持ちを分かち合い、情報交換している。
 レドンドビーチで開かれたNAMIの日本語支援グループのミーティングでこの日、サンディエゴから初めて参加した女性がせきを切ったように、「息子が突然理解不能な言動をするんです」と、状況を説明すると、メンバーは優しく「うちも同じですよ」「分かります」とうなずいた。
 その瞬間、張っていた女性の肩が下がり、「分かってくださるんですか? 今まで誰も分かってくれなかったんです」と目を見開くと同時に、安堵の表情を浮かべた。同席していた専門家から今後の対応として具体的なアドバイスを受けた女性は、「分かってくれる人がいるだけで、話を聞いてくれる人がいるだけで違う。今日は遠くから来た甲斐がありました」と、最後は笑顔で会を後にした。
 大変なのは最初の一歩。そのドアの向こうには、同じように悩み、苦しみ、葛藤した「先輩」や「仲間」がたくさんいる。1人で頑張らず必要な時は頼ってほしい。【中村良子】

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