「おめでとう」の陰で

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 第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、ドミニカ共和国の初優勝で幕を閉じた。「おめでとう」の祝福の陰に、準決勝で敗退し、3連覇を果たせなかった日本に落胆した人が多いことだろう。
 選手は全力を尽くし、闘志が伝わってきた。だが、優勝へ向けてのプロ野球界とファンの意識が薄く感じられ、負けた責任は国民全体にあるのではないか。「侍ジャパン、3連覇へ」などと、掛け声だけは高かったが、大会へ向けての取り組みも不十分だった。
 まず、2連覇した日本の大会不参加表明。プロ野球の選手会は、全会一致で決めてしまった。今から思えば、王者のおごりだったように映り悲しい。
 主催者の不公平な分配金を不服とし、参加へ向け協議を重ね、日数を費やした結果、チーム編成がおろそかになったようだ。高給取りの選手が、金銭でもめるのは見苦しく、やめてもらいたい。
 監督の選考も長引き、チーム強化に影響が見られた。日本での練習試合から不調で、大会の1、2次ラウンドは苦戦を強いられた。絶体絶命の大ピンチで逆転勝利するなど底力を見せ、徐々に調子を上げてきた。しかし、米国での戦いでは、世界の強豪を相手には通用せずに散った。
 他の競技のようにせっかく、代表チームを常設したにもかかわらず機能せずに、肝心な大会で実力を発揮できなければ意味はない。また、大リーガーの出場辞退は、本人の意志なので、どうすることもできないが、ファンが待望する雰囲気を作って盛り上げれば、話は違ったはずだ。イチローやダルビッシュ、青木など、かつての優勝経験者で現役で活躍する選手が次はほしい。
 日本とは正反対で、ドミニカは大リーガーのベストメンバーで固めて臨み毎大会、優勝候補に挙げられたが負けてきた。そして今回、ついに世界の頂点に立った。過去の教訓を生かしたに違いない。日本はまだ、われわれが暮らす米国の不甲斐ない代表チームよりはましだが、敗戦から学んで次に生かさなければ、今回の二の舞いになることは目に見えている。落ちぶれた侍が、再び輝きを取り戻すためには、国民の意識改革も必要である。【永田 潤】

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