駆け足の春

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 今年の冬は寒暖の差の大きい冬だった。各地で大雪が降ったり、中国大陸より黄砂が押し寄せたり、3月の半ばには夏日を思わせるバカ陽気。気候の変動が甚だしい。そのバカ陽気を受けてお彼岸過ぎに一斉に各地で桜が咲き始めた。慌てたのはお花見宴会関連の業者。予定より2週間も早まったのだから無理もない。今まで温めてきたお花見商品の企画を、一部だけでもと業者に頼み込んだり、あきらめたりと悲喜こもごも。とんだ春の珍事であった。
 自らの不注意とはいえ桜が咲き始めた3月中旬に骨折して入院するはめになった。救急車で運び込まれたのは川崎のS病院。
 1973年創業のこの病院は昨年新築移転し、各種医療機器を増設するとともに「川崎市重症患者救急対応病院」の指定を受け、救急・総合診療部を発足させた。自分が救急車で運び込まれたのはこのような背景でICU(集中治療室)にお世話になったのだ。
 3時間半に及ぶ応急治療だったというからかなりなもの。レントゲン写真を見せられて状況説明と今後の治療概要が示される。やがてそのまま病室へ。手術は傷が落ち着いた4日後だった。
 日本では既に幾つかの病院にもお世話になっている。それぞれに特徴はあるのだが、この病院の特徴はシステムがしっかりしているようでスタッフや看護師、リハビリの療養士など訓練が行き届いているように感じられる。
 専門専門で役割分担がはっきりしており、説明も明解で納得がゆく。病院システムを説明する係り、麻酔医、療養士などがそれぞれの立場から専門的に説明し質問に答えてくれる。
 なんといっても一番の特徴は救急車で運び込まれる救急患者の多いことであろう。手術数も圧倒的に多いようだ。入院して10日くらいで2人部屋の同室患者はもう4人目。日本の病院も変わりつつある。
 早く咲き始めた今年の桜は早く散り、この週末が最後のチャンス。まさに「花曇り さくらも見ずに 春は逝く」という状態である。
 主治医や看護師さんたちの好意に甘えてばかりはいられない。いよいよ始まる本格的なリハビリを克服して一日も早い復帰を目指そう。【若尾龍彦】

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