患者の光となるか、遺伝子治療

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 不眠とそれに伴う体調の悪化、心臓病などに20年以上悩む母は、近年はうつ病も発症し苦しんでいる。生真面目な性格なので、すべてを完璧にこなそうとし、仕事や家族間の人間関係でたまったストレスを抱えこんでしまったからだと思う。
 体調が悪く起き上がれない日が続くと、当然家事が進まない。思うように体が動かないのがもどかしく、怠けているのではないか、と自分を責めてしまう。
 また、体調が良いときは元来の明るく活動的な母に戻るので、家族を含めてうつ病だと思わない、という周囲の理解のなさもある。
 何か効果的な治療法はないか探し続けていたところ、友人からある情報をもらった。情報番組の「ディスカバリー」が以前放映した番組で、人間がさまざまな病気を発症するリスクはすでに産まれたときから個々の遺伝子に組み込まれている。病気が発症したら、その遺伝子を特定し、直接働きかける薬を投与すれば、病気は改善するというもの。
 原因不明の難病を抱えた二人の子供を持つ両親は莫大な医療費と時間を費やし、ようやく原因が判明した。簡単に言うと、両親はともに健康だが、実はそれぞれが突然変異の遺伝子を抱えており、それぞれの遺伝子を引き継いだ兄弟はその遺伝子が主な原因で発病したという。その遺伝子を特定し、治療を行ったところ、症状は劇的に改善し今では健康的な生活を送っている。
 この番組を見て、母の病気は他の要因があるにせよ、遺伝子が大きな原因で、自身の弱さなどといったことではないのだと気づいた。早速母へメールするとかなり気が楽になったという。保険の対象外のため高額ではあったが、日本国内のうつ病の専門機関を訪ねたところ、母は「双極性障害」と診断された。うつ病を繰り返していると発症する確率が高く、我慢が過ぎると誰にでも起こりうる事で、5年ぐらい前に病名として確立したという。原因特定にはまだ至ってないが、双極性障害はミトコンドリアの機能障害と深く関係しているという研究結果もある。
 遺伝子治療も日進月歩。苦しむ患者のために一刻も早い治療法確立を望む。【下井庸子】

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