日系人の人権のため戦う:藤井整の勇気描く

1

 
  

藤井整を演じたクリス・タシマ(右)と共演者の尾崎英二郎。「リトル・トーキョー・リポーター」のポスターを囲んで

 1931年に加州毎日新聞社(以下、加州毎日)を立ち上げ、日系1世の人権を守るため闘った藤井整の活躍を描いた短編映画「リトル・トーキョー・リポーター」がロサンゼルス・アジアン・パシフィック映画祭に出品される。物語は実話で、藤井の行動から、日系人が持つ強さや勇気、不屈の精神などを見る人に訴えかける。

短編映画「ビザと美徳」でアカデミー賞を受賞した時のオスカー像(右)とポーズをとるタシマ

 映画の舞台は1935年の小東京。当時、日系社会では賭け事などの不道徳行為が問題視されていた。加州毎日の編集長として、そして日系社会のリーダーとして、差別と闘いながらもコミュニティーで横行する悪事をなくすために奔走する藤井の姿を描く。
 藤井は1882年に山口県で生まれた。旧制山口高校を中退後、1903年に渡米。南カリフォルニア大学(USC)で法律を学んだ。卒業後、弁護士になることを望んだが、移民で米国市民権をもっていない藤井が弁護士になる道は閉ざされていた。
 そこで藤井は当時差別を受けていた日系1世を助けるための活動に奔走する。28年には米最高裁で日本人医師がロサンゼルスで病院を建設する権利を勝ちとり、48年には加州外国人土地法(排日土地法)を覆すための訴訟を起こし勝訴。これにより日系1世が土地を購入できるようになった。
 54年春に念願の米国籍を取得するが同年冬に病死。米国市民として生きたのはわずか50日ほどだった。

同作品に出演し、藤井の勇気をたたえる尾崎英二郎

 同作品の監督は、日本人でも日系人でもない、中国系米国人のジェフリー・ジー・チン氏。「この映画を通してアジア系コミュニティーの開拓者たちの存在を伝えたかった」と訴える。
 藤井を演じたのは短編映画「ビザと美徳」で、アカデミー賞短編実写部門でオスカーを獲得した日系人俳優クリス・タシマ。「この映画の話がくるまで藤井のことを知らなかった」と語るタシマの祖父母は日本からきた1世。「1世のことを扱う同作品には、脚本を頂いた時からすぐに親近感が持てた」と振り返る。
 「これだけのことをしてきた人なのに、残念ながら彼を知る人は少ない。人生をかけて日系コミュニティーに貢献し、多くの人を助けてきた功績を、作品を通して知ってもらいたい」と力を込める。
 「法律がおかしいと思っても、それを変えようと行動できる人は現代でもなかなかいない」。出演者のひとり尾崎英二郎も藤井の勇気をたたえる。「日本人が勤勉だというイメージは日系1世の人たちが築き上げてくれたもの。今こうして活動の場があるのも彼らのおかげ」。新1世となった尾崎は感謝の気持ちを込めて語った。
 映画祭出品に伴い、5月12日(日)午後3時からロサンゼルスのCGV Cinema (621 S western Ave) で上映会が開催される。チケットの購入など詳細は同映画祭ホームページ―asianfilmfestla.org/2013/ で確認できる。 【吉田純子、写真も】

Share.

1 Comment

Leave A Reply