各県の伝統芸能を披露:日本文化継承者8人に奨学金

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東北訛りで「秋田音頭」を唄う同県人会のメンバー

東北訛りで「秋田音頭」を唄う同県人会のメンバー

 南加県人会協議会(岩下寿盛会長)は、日本文化の継承者育成と東日本大震災の被災地支援の資金集めを目的とした「親睦演芸会」を6日、約650人の参加者を集めアラタニ劇場で開催した。各県人会のメンバーが、民謡や舞踊、コーラス、歌謡など故郷の伝統芸能を披露し席上、若い文化継承者8人に対する奨学金授与式を開き、受賞者は日系社会からの期待の高さを肌で感じ、さらなる精進を誓った。【永田潤、写真も】
竹嶺会の演奏とともに「シャンシャン馬道中唄」を披露する奨学金受賞者の水島茜さん(左端)

竹嶺会の演奏とともに「シャンシャン馬道中唄」を披露する奨学金受賞者の水島茜さん(左端)

 演芸会は、芸術の秋の恒例行事として今年で34回目を迎える。第1部は、県人会協議会に加盟する17の県人会から芸達者たちが20演目を繰り広げた。日本舞踊や民謡、三味線、剣舞、歌謡曲など郷土色豊かな出し物が続く。県人会の多くは芸能部を持ち、新年会やピクニックなどの各行事で発表しており、場の盛り上げはお手の物。中には、お国訛りで民謡を唄い笑わせるなど、会場は大いに沸いた。
 県人会協議会は、次世代を担う文化人の育成に力を注いでおり、今年までに計268人に奨学金を授与し、日本文化の普及に寄与している。演芸会の出演者の中には、日系3世、4世で同奨学金の過去、そして今年の受賞者もおり立派に育つ姿を見せ、関係者を喜ばせた。
 奨学金の授与式では、受賞者8人にそれぞれ賞状と1000ドルのチェックが贈られた。岩下会長があいさつに立ち、協議会の東日本大震災の被災地支援に対し「復興の遠い位置付けになればいい」と意義を強調。前途有望な若い文化継承者に向け「継続は力なり」などと激励し「これからもそれぞれの分野で切磋琢磨し将来、日系社会、世界のリーダーとなることを切望する」と期待を寄せた。演芸会の出演者の芸などについては「お国自慢の郷土芸能を披露してくれ盛り上げてくれた」とたたえた。
元気よく歌う鹿児島県人会の「カルカンコーラス」

元気よく歌う鹿児島県人会の「カルカンコーラス」

 各来賓が祝辞を述べ、先月赴任したばかりの新村出領事は、着任のあいさつを兼ね「これからさまざまな行事を協力したいので、指導と鞭撻をお願いしたい」と話した。この日は、さまざまなショーを鑑賞し「みなさんの素晴らしいパフォーマンスを見せてもらい、エネルギーとバイタリティーに圧倒された」と称賛。協議会が力を注ぐ東日本大震災の支援が日本で認められているとし「みなさんの気持ちは被災者の力になり復興の支えになる」と謝意を表した。文化継承者への奨学制度については「30年以上も続いていて、非常にすばらしく感銘を受けている。受賞者は、次世代のリーダーとして活躍してほしい」と述べた。
 受賞者を代表し吉岡楓さんが謝辞を述べた。自身が話すきれいな日本語は、家庭と夏休みを利用した日本での体験入学、毎土曜日のあさひ学園で習得したとし「特にあさひ学園高等部では、弁論大会や小説を書くことで、言葉を通した表現力を教わり、大学での小論文執筆に役立っている」と話した。今回の受賞は「県人会協議会をはじめ、周りの人の支えがあったからこそ」と謝意を伝え「この奨学金受賞を励みに頑張っていきたい」と気持ちを新たにした。
 ▽育英奨学金の受賞者は次の通り。(敬称略)
 原智実(琴と和太鼓)、吉岡楓(日本語)、尾崎泰斗(日本語)、沢田エリ(日本語)、水島茜(民謡、三味線、太鼓、歌、日本語)、荻野礼奈(日本語)、竹内よしえ(日本語)、赤星奈々(日本語)
山内惠介が熱唱
艶のある声で観衆魅了

熱唱で観衆を魅了する山内惠介

熱唱で観衆を魅了する山内惠介

 第2部では、特別ゲストの山内惠介が、艶のある声で熱唱し観衆を魅了した。山内は、NHKの「歌謡コンサート」や「日本の歌」、「のど自慢ゲスト」に出演したため、当地の演歌ファンにはお馴染みだ。端麗な顔立ちでも人気を集め「イケメン演歌トリオ」の1人としても知られ、ステージに姿を見せると、アラタニ劇場では珍しく黄色い声援が飛んだ。
 最初の曲は、3月にリリースし北海道を舞台にした「釧路空港」。歌詞にある男心の切なさを感情を込めて歌い、英語を交えた自己紹介に入った。「(歌とは違う)北海道とはほど遠い、福岡出身です」と笑いを誘い、第1部ではさまざまな県人会が舞台に上がったが、福岡は郷里での世界大会参加のため参加できず「今日は代わりに僕が福岡県人代表として頑張りたい」と意気込み、大きな拍手を浴びた。選曲は多くの年配者のために「懐かしい曲を聴いてもらいたいと思った」と配慮し、持ち歌に加え「東京ブギウギ」や「愛の讃歌」「お島千太郎」などを歌うと、会場からは手拍子が起こり、聴衆の心を捉えた。
 7曲を歌い終えた山内は「ステージで幕が開き歌い始めると、日本で歌っているような気がして気持ちよく歌えた」と喜んだ。参加者に親近感を覚えたといい「アメリカ人と日本人が一番近しく生活をしているためだろうと思う」と述べ、さらなる活躍を誓った。公演後は、ロビーでサインや写真撮影のリクエストに気さくに応じていた。
日本文化を継承する若い8人の受賞者(後列)に贈られた奨学金の授与式。前列中央から新村領事、岩下会長、野崎住吉・育英奨学資金部部長

日本文化を継承する若い8人の受賞者(後列)に贈られた奨学金の授与式。前列中央から新村領事、岩下会長、野崎住吉・育英奨学資金部部長

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