東京の空から

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 手元に「展望デッキ」と「展望回廊」と印刷された2枚のチケットがある。数週間前、母と姉の3人で、東京スカイツリーに初めて上った時のだ。LAに戻ってからは、連日夏のような暑さが続き、寒かった東京が既に遠い昔に感じる。
 2012年5月に開業してから、日本に帰国の際には、ぜひとも3人一緒に上まで、と願っていた。しかし、予約がいっぱいだったり、スケジュールが合わなかったりで果たせないでいた。
 「今なら空いてるらしいから予約なしでも…とにかく行こう」と姉の提案で出かけた。「東京スカイツリー駅」を出てエスカレーターであがると入り口のロビーに。既に人混みの長い列が。待ち時間は1時間半、強風でエレベーターの運行が中止になる場合もあると場内放送。
 姉は、午後に別のアポがあるのでどうしようか一瞬迷ったが、とにかく並んだ。外国人のお客さんも多い。
 45分程待ってチケット購入。展望デッキまで大人2000円。いよいよだ。グループごとに分かれて安心できそうな大きなエレベーターに導かれる。季節をテーマにした内装デザインも奇麗。浮き浮き気分が緊張感へと変わる。乗客皆、息を飲み静まり返る。急な気圧の変化で耳がツーンと詰まることもなくスムーズに90秒運行後、ドアが開くと…。
 「ぅわあ〜!」驚嘆の歓声。
 350メートルの高さから眺める景色は見応え十分。東京タワーが小さく見える。さらに地上450メートルの展望回廊(大人1000円)まであがって、ぐるり歩いて一周。遠くに東京湾や富士山も見える。絶景だ。
 母と姉は、特別な思いに耽りながら、じっと隅田川界隈を眺めている。姉と僕はこの界隈の墨田区東向島で生まれた。3歳の時、東京郊外に引っ越したため、僕はあまり記憶はない。母と姉は、指さしながら、模型のように見える川縁の歩道や橋、病院、公園や寺を見入る。この下町に、まさかこんな巨大な世界一高い建物が建つとは、当時は誰も思いも寄らなかっただろう。
 念願が叶って素直に嬉しい。こうして東京の街を空から見ると力強さを感じる。2020年の五輪でも東京は活躍してくれるだろう。【長土居政史】

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