謝らないアメリカ人

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 「謝らないアメリカ人」という話をよく聞く。交通事故を起こして自分に非があったとしても素直に認めて謝る人はまずいないという。謝るとは、こちらの非を認め、過失を認め、罪を認め、損害補償をすることを認めることに通ずるので、うっかり「ごめんなさい」とはいえないようだ。民族・文化が混在している上に、価値観が多様なためか、安易に自分の権利を主張し、訴訟に決着を求めがちなこの国の宿命なのだろう。しかし一方で、気さくに謝るアメリカ人を見かけることも多い。
 アメリカでは歩行中の道路上でちょっと触れただけで、互いに「Excuse me」とか、「Pardon me」と口にするのが普通だ。道を譲り合っただけでもほとんどの人の口から感謝や詫びの言葉が自然にでてくる。それもわざとらしくない自然体なのだ。もちろん日本人も「ごめんなさい」、「失礼」という人も多いが、かなり意識しないと出てこない言葉ではないだろうか。
 一般にアメリカ人はこのように対人関係の潤滑油のひとつとしての「Excuse me」や「Pardon me」を連発する一方で、わが身の保身に関係する段になると、今度は「謝らないアメリカ人」に豹変する。
 一昨年、日本から大リーグへ移籍し、目下大活躍中のダルビッシュ投手は入団当初、試合で打たれ、思わず監督に謝ったことがあったそうだ。すると監督は「今後は絶対に謝るな」といってダルビッシュ投手を諭したとか。この場合、監督は「気にするな」という慰めではなく、謝るということは、全力を出し切ることを怠ったと解釈されてしまうからだったという。本人は当然のことながら、全力投球で試合にのぞんだのだが、周囲からそうはみてもらえないという監督からの注意だったのだ。この監督の諭しの言葉は私たち日本人として重く受け止める必要がありそうだ。
 マー君(田中将大投手)もいよいよ名門ヤンキースの一員としてユニホームを着ることになった。マー君には一日も早く現地とチームに溶け込んで活躍してくれることを期待したい。彼が西海岸のチームでなく、ニューヨークの球団の所属となったのは少々残念だったが、彼の活躍が今から楽しみだ。【河合将介】

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