図書館の有難さ

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 子どもの頃から本が好きだった。自由に本が手に入らない子ども時代は、漫画、雑誌、大人の本と片っ端から読みあさり、何度も繰り返し読んだものだ。読み出すと没入し辞められないのも困った癖だった。母親に叱られながら布団をかぶって裸電球を引き込み、朝まで読み通したことも何度かある。困った子どもだったに違いない。
 本好きにとって日本の住宅事情は一番のネックである。アベノミクスとともに徐々に景気は回復し、4月からは消費税の値上げもあって東京付近のマンションの売れ行きが伸びている。マンションとは響きが良いが要するに集合住宅、しかし住んでみると駅に近くて鍵一つで気軽に出かけられる生活は便利だ。難点は住スペースの狭さ。余分なものはほとんど置くスペースがない。本もご多分にもれず溜まる一方で、もらってくれる人は少ない。ゴミに捨てるのも気がとがめるし、まったく始末が悪い。
 そんな中で非常に重宝なのは近くの図書館である。川崎市の例をとると、各区ごとに市立図書館があり、なかなか充実している。利用はすべて無料で、カードを発行してもらうと、自宅からでも本の在庫が検索でき予約もできる。近くの図書館になければ関連の図書館から取り寄せてくれる。貸し出しは2週間だが、期限内に読み切れなければネットで延長もできる。また読みたい新刊書があれば購入をリクエストもできる。なんといっても本を置くスペースを心配しなくて済むのが有難い。日本では移動はほとんどが電車だから、車内での読書時間も結構ある。そんなわけで昨年は読破した本が108冊となり、近年の記録を突破した。
 それでも気に入った本はやはり手元において時々手に取りたい。本は何度読んでも常に新しい発見があるし、違った味わいがある。読み手の経験や知識・考え方が違えば本から読み取るものも違ってくる。本を友とすることができる世に生きることは有難い。布団に横たわってからも、もう少しもう少しと夜更かしする癖は未だに治らない。コーヒーを入れゆったりとした時間があって本に向き合える時の幸せ。残り少ない人生、あと何冊の本が読めるのだろう。【若尾龍彦】

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