寒さに耐え桜咲く

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 今日本に一時帰国している。
 数日前から徐々に暖かくなりはじめ梅の花が満開を迎えたが、1週間ほど前までは本当に寒かった。ロサンゼルスの暖かな気候に慣れてしまったせいか日本の寒さは特に身にこたえる。外に出ると赤鼻のトナカイのようにすぐに鼻が真っ赤になってしまった。
 同じ時期、ロサンゼルスの友人からのメールでは、LAはすでに暑く日焼けで鼻が赤くなったとのこと。ロサンゼルスの温暖な気候がすぐに恋しくなった。
 少しずつ暖かくなりだした日本では街を歩くと春の訪れが感じられる。随所に梅の花が咲き誇り、横を通りすぎるとほのかに香る梅の香りに思わず足を止め「何年ぶりだろう」と思う。
 ロサンゼルスと比べると一足遅く、日本では一足早く河津桜も満開を迎えた。河津桜は3月上旬に開花する早咲きの桜で伊豆半島の河津町で原木が発見されたことからその名がつけられたという。温暖な気候で知られる伊豆半島最南端の南伊豆町でも河津桜と同じように早咲きの「みなみの桜」が先週見頃を迎え、連日多くの観光客でにぎわったようだ。東京都内でも代々木公園や赤坂のTBSに隣接する複合施設「赤坂サカス」などでも河津桜は見ることができ、スマートフォンで写真撮影をする人が後を絶たない。
 日本の国花である桜は多くの人を魅了する。桜から抽出された染め物は桜染めといわれ、きれいな桜色は洋服や着物、スカーフなどに用いられる。この誰をも魅了する美しい桜色は満開の桜の花びらからとれるものかと思いきや、実は花が咲く前の黒い木の幹からでる色なのだという。
 一見、ゴツゴツした桜の木の外観からは想像もつかない程の美しさをその内側に秘めている。見た目では判断できないとはこのこと。しかも冬の凍てつく寒さに耐え抜いた幹からはより一層美しい色が抽出され、きれいな染め物となって生まれ変わるのだそうだ。
 受験シーズンによく耳にする「桜咲く」という言葉。合格発表も終わり、これからあらたな門出の季節だ。厳しい冬の時代を耐え抜いた人は、きっと桜のように美しく輝き始めるだろう。【吉田純子】

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