特別記念公演:能力、個性で観客魅了

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感動的な演技で観客を魅了したミュージカル「ミラクルキャッツ」

感動的な演技で観客を魅了したミュージカル「ミラクルキャッツ」


切れのある踊りを見せたヒップホップ「スターズ・シャイン・クルー」のメンバー

切れのある踊りを見せたヒップホップ「スターズ・シャイン・クルー」のメンバー

 
 1994年に設立された障害児を育てる親の日本語支援グループ「手をつなぐ親の会」(JSPACC)が創立20周年を迎え、2日、記念特別イベント「ミラクルキッズ・フェスティバル」をトーレンスのエルカミノカレッジ内マーシー公会堂で催した。障害児と健常児が一体となったパフォーマンスは、約1200人の観客を魅了した。【取材=中村良子、写真=JSPACC】
 
多岐にわたる活動内容
 
 同会は、米国における障害者を取り巻く法律や教育、医療や福祉サービス、また日本との文化の違いに関する情報を日本語で会員に提供し、障害のある子供たちが社会の一員として豊かな生活を送れるよう、障害児を育てる馬上真理子さんとウィルキンス・美智子さんが小東京サービスセンターの協力を得て設立。当初10家族程度だった会員は現在、医療や教育などの専門家も含め200人を超える。

 活動は、会員同士の親睦や情報交換だけにとどまらず、マイノリティーの障害者支援グループ同士が協力し合う「オープニング・ドアーズ」に加盟。障害者権利擁護のロビー活動も行う。
 また、障害のある子どもたちの能力や個性を最大限に生かせるよう、JSPACC内に芸術部を発足し、スポットライトの当る機会が少ない子どもたちに発表の場を設けるとともに、日ごろ障害者とかかわりのない人を招待、障害者の理解に尽力してきた。
 09年には、障害児の一番の理解者である兄弟姉妹の会「シブリング会」を発足。障害のあるきょうだいを持つもの同士支え合い、障害者と健常者の懸け橋的な役割を担うことを目的に活動している。
 
豊かな表現力を披露
  
 2日のイベントでは、和太鼓、ヒップホップ、ミュージカル、リトミックの4演目に64人が出演、アート展には39人の子どもたちが出品した。

力強い迫力ある演奏を披露した「絆太鼓」

力強い迫力ある演奏を披露した「絆太鼓」


 迫力ある演奏を披露した「絆太鼓」の指導にあたったロサンゼルス祭太鼓の井上由紀さんは、「和太鼓の指導は通常、リズムを口に出して教え覚える口唱歌を用いるが、視覚から情報を得る方が理解しやすい子が多かったため、リズムパターンを大きな紙に書いて対応した」。さまざまな障害のある生徒を指導するという点で、「大変だったことは特になく、子どもたちの学び方を見ながらアイデアを考えるのは楽しく、とても勉強になった」と振り返った。
 創立15周年記念の初公演から4回目のミュージカル「ミラクルキャッツ」。初回から演技指導にあたるモンテッソーリ国際学園園長で、行動療法博士の炭川純代さんは、「(障害の有無にかかわらず)経験のある子どもたちが中心となり皆を引っ張っていく姿が見られ、ひとつの舞台を完成させるという目的をしっかりと持って参加できるようになった」。1200人を集客し、「障害のある子は演じるのではなく、役になりきることができる子が多いので、彼らの純粋な表現力を見てもらえたのでは」と述べ、「障害があるから」とあきらめない大切さを訴えた。
 総合演出・舞台監督を務めたメリンズプロダクションの伊東容子さんは、「09年の初回に依頼された時は正直、障害のある子がどの程度できるか疑心暗鬼だった」というが、子どもたちの個性や能力の豊かさに驚かされたという。今回は、「作品を通じ、お客さまと感動を共有してもらいたい」との気持ちで取り組んだ。「この子は1人で何もできない」と言う親から子どもを離し練習に参加させると、子どもたちはしっかり稽古をこなしていたことに触れ、「各指導者の尽力があってこそだが、子どもたちだけでなく、その親、指導者、ボランティア、全員が多くを学んだ」と振り返った。
 障害児とともにミュージカルに出演したシブリング会の尾崎泰斗会長は、「メンバーが互いに支え合い、助け合うことの大切さを実感した」といい、「障害者が周りにいない人は障害のことを知らない人が多いと思うが、JSPACCのような団体が存在することを知ってもらい、偏見のない優しい社会になってほしい」と述べた。
 
海を越えた交流も視野に
 
 式典であいさつに立った創設者の1人、馬上さんは、「20年前の創設当初は、ここまで大きな団体に成長できるとは思えなかった」と振り返り、「これもすべて、わが子を愛する親、支援を申し出てくれたボランティアや専門家の人々のおかげ」と感謝した。
 JSPACCの吉山るりこ会長は、自閉症の長男がイベント終了後に、「この数カ月の稽古は、僕とお姉さん(来月から日本の大学へ進学)のとても大切な思い出の時間でした。皆ありがとう」としっかりとあいさつできたことに、「息子に豊かな感情と純粋な思いが育っていることに驚き、胸が熱くなりました」と振り返るとともに、同イベントにかかわった245人全員が成長できたと述べた。
 また、「これからも、心豊かな子どもたちが自分を表現できる場を提供し続け、日本在住の会員家族との交流を強化したい」とし、同団体の活動をさらに社会に伝え広めていきたいと抱負を述べた。
 
創立20周年を祝う「手をつなぐ親の会」の会員とボランティアメンバー

創立20周年を祝う「手をつなぐ親の会」の会員とボランティアメンバー

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