雛人形をみながら考えたこと

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 昨日3月3日はひな祭り。季節感の乏しい南カリフォルニアでも、この時期になると春の到来が嬉しく、桃の花を飾ったり美味しそうな雛あられや桜餅を買ってお供えしたりして、家族の団欒(だんらん)も少し華やぐ。
 ところで、雛人形は3月3日を過ぎても片付けないとその家の娘が『お嫁に行き遅れる』というのは誰もが知るジンクスだ。以前は『行き遅れる』ことについて、一種の強迫観念が存在していた。
 私も20代の半ばを過ぎる頃になると、いろいろな人からいろいろなことを言われた。「12月25日を過ぎたクリスマス・ケーキのようなもので、25を過ぎると市場価値が下がるよ」などと品格のない冗談を言われたこともある。
 しかし、そうしたジンクスはどこ吹く風、最近の平均初婚年齢は上がる一方だ。厚生労働省の統計によれば、日本人男女の平均初婚年齢は、1950年では女性23.0歳、男性25.9歳だったのが、2012年には女性29.2歳、男性30.8歳に上昇している。
 男女とも目が肥えて理想の相手にめぐり会いにくくなったのか、それとも独身貴族の生活を楽しむ男女が増えているのか、原因はともかくとして、『結婚適齢期』という既成概念に捉われず、若い人たちがのびのびと生活を満喫しているならば、それも悪くないことだと思う。
 その一方で、出生率が1.41と低迷を続けている一つの要因が結婚年齢の上昇であるとするならば、手放しで喜ぶことも出来ない。このまま少子化が進むと、日本の人口は現在の1億2752万人から100年後には3分の1程度に減少するそうだ。最近の政府の経済財政諮問会議では、人口1億人の水準維持のために、外国からの移民を毎年20万人受け入れ、女性の出生率を2.07まで引き上げようとの構想が示された。なかなかハードルの高い提案だと思う。
 さしあたって、私がこの問題解決に貢献できる術は全く見当たらない。女雛の美しく端正な顔立ちをじっと見つめながら考えた。日本の人口問題には私には何の対応策もないが、せめて、自分の娘が早くも遅くもない年齢で立派な相手とめぐり会って結婚できるよう、とりあえず今日帰宅したら早々に雛人形を片付けることにしよう。【海部優子】

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