世界は一つ

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 ハイテクのおかげで情報は一瞬のうちに世界を駆け巡る。私たちの子供や孫には「世界は一つ」感は当たり前の時代になった。もち論、日々の生活は住んでいる地方性の上になりたっているから、暑いの、寒いの、都会だ、田舎だ、という制約からは逃れられない。また、制約があるからこそ、自分の住む地域を特別に愛する気持ちも湧いてくる。仲間意識である。この実生活上の地方性とハイテクに支えられた世界性とがバランスをとりながら共存する世界が現在だ。
 人種の坩堝(るつぼ)のアメリカに暮らすわれわれ。日本人としての誇りを持ちつつ、多民族の人たちと社会人としての約束事を守りながら共存している。
 よく「内面は外見に現れる」といわれる。ファッションは相手を知る手っ取り早い情報源だが、今、若者のファッションはほぼ、世界共通である。
 今日、LAダウンタウンで催された、メードインアメリカのユニークなファッションや小物を売るショーに参加した。ファッションディストリクトのビルの13階ペントハウス、約350のベンダーの店が並ぶ。土日で集客数は5万という。母の日を控え、ユニークなプレゼントを探す人でごったがえしていた。
 ファッションに敏感なお洒落な人たちとあらゆる人種のデザイナーたち。売りたい商品を介して何の垣根もない。手作り商品を前に熱心に質疑応答を繰り返す。売る側も、買う側も、どちらも優れたもの、美しいもの、面白いもの、共感できるものを探している。DJがビートのきいた音楽をかけ、人々の話し声が渦巻く活気に溢れた会場。こういう現場こそ、米国そのものであることを思わずにはいられなかった。
 異質なものに興味を持つ飽くなき好奇心、未知なるものに挑戦する勇気、絶えず新しいものを探す茶目っ気と鷹揚さ。人々は自分が何人であるかよりも、ただ、いいものを創れるか、いいものを見抜く眼力が自分にあるかだけを問題にしている。
 会場を出た後はまるで世界旅行をしたかのような高揚感があった。若者には確実に「世界は一つ」である。情報の細い糸が今日もぐるり、ぐるりと世界を束ねている。
【萩野千鶴子】

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