映画「ゴジラ」と渡辺謙さん

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 話題のハリウッド映画「ゴジラ」を見た。子供の頃はお転婆娘だったので怪獣映画は全て見ていたが、大人になってからはSFものは好んでは見なくなった。しかし今回は、家族に強く誘われて出かけることにした。
 夫も子供たちも、きっと私は上映中に寝るだろうと思っていたらしい。何しろスターウォーズのプレミアム試写を見たときですら、戦闘シーンで眠ってしまったのだ。ところが、今回は、最初から最後まで、異例の集中力で見通した。それは、映画自体が大変な迫力でストーリーも面白かったことや、日本のシーンが盛り込まれており子供の頃見たゴジラと重なる部分もあり、懐かしさを感じたからでもあるが、渡辺謙さんが好演していたことも大きな要因だったと思う。
 謙さんは、ゴジラや怪獣ムトーの生態を知り尽くした科学者・芹沢博士で、全体を通して、怪獣退治にやっきになっているアメリカ戦闘部隊に冷静なアドバイスを行ない続ける役どころだ。1954年の日本のオリジナル映画「ゴジラ」に出てくる芹沢博士をモチーフにしているらしい。ハリウッド映画で主演を張れる日本人俳優は数えるほどだが、中でも渡辺謙さんの存在感はぬきんでている。妥協を許さない映画人の気迫のようなものが演技を通して伝わってくるのだ。
 渡辺謙さんとは、ご家族とサンタモニカに住んでおられた一時期、親しくさせていただいた。あれだけの大スターなのに、大変気さくで柔らかな物腰で接してくださった。せっかくロサンゼルスに住むことになったので、日系コミュニティーのことも知りたい、とおっしゃっていた。奥さまの南果歩さんも舞台女優出身なので、お二人が演技のことを語り始めると、話題は尽きなかった。映画や舞台を通して何を伝えたいのか、どう伝えるべきかを、お二人とも常に考えているようだった。
 アメリカでの日本の存在感が相対的に薄らぎつつあるようにも思われる今日、ハリウッドで名だたる名優たちと並んで主役を張ってくれる謙さんは、日本人にとって眩しく嬉しい存在だ。今年もすでに幾つかの主演が決定しているという。しかも今度は謙さんの魅力が存分に発揮される人間ドラマだ。今後も活躍を期待したい。そして次回も必ず見にいきます。【海部優子】

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