花子とアン

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 吉高由里子主演のNHK連続テレビ小説「花子とアン」が日本でブームを巻き起こしている。最新の週間視聴率ランキングでも25.2%。他の追従を許さない。主人公は明治、大正、昭和の激動の時代を生き抜いた『赤毛のアン』の翻訳家、村岡花子(劇中では「はな」)。
 皆、幼い頃読む『赤毛のアン』だが、それが誰の翻訳だったか、あまり気づかない。翻訳家とはそういう影の存在なのだ。その人の一代記がなぜここまで受けているのか。
 「演技力では定評のある吉高が村岡花子をうまく味付けし、魅力的に作り上げたからだ」(碓井広義・上智大学教授)という指摘がある。
 が、吉高の熱演もさることながら、歌人・柳原白蓮をモデルにした葉山蓮子役の仲間由紀恵はじめ、個性的な脇役が素晴らしい演技をしているからではないかと思う。
 その一人に、主人公「はな」が給費生として学んだミッション・スクールのブラックバーン校長がいる。村岡花子が実際に通った東洋英和女学校(現・東洋英和女学院)のミス・ブラックモアがモデルらしい。
 私の母親の姉、つまり伯母もその頃、横浜のミッション・スクール、捜真女学校に通っていた。アメリカ人校長のお世話をしながら授業を受けさせてもらう給費生だった。その後、写真結婚で渡米、二度と日本の土は踏まなかった。子供の頃、伯母に頼まれて母と一緒にその元校長を慰問したことがある。教員用宿舎で余生を送られていた。「ミツ(伯母)はすごく頑張りやさんだったわよ」。握手した白い手は柔らく、弱々しかった。
 劇中、ブラックバーン校長が問題を起した生徒に「Go to bed」と大声を上げるのを見るたびに、厳格だったという伯母の恩師のイメージが二重写しになる。宣教と日本の女子教育に一生を捧げ、横浜を終の棲家(ついのすみか)に選んだ一人の老婦人を思い出す。
 物語は佳境に入る。そして日米開戦へ。ブラックバーン校長はどうなるのだろうか。【高濱賛】

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