着物文化を守るのは世界の若者だ!

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二世週祭ファッション・イベント

胸元に帯をあしらい、背後の着物の刺繍を生かすスタイル

胸元に帯をあしらい、背後の着物の刺繍を生かすスタイル

日本の伝統着物は値段が高いし、小物が多くて着るのも簡単でないし、しかも動きにくい。買う人、着る人にとって容易ではなさそうだ。その結果として着物に携わる職人が減っているという。そうした中、どうやって日本の伝統美ともいえる着物の良さを守っていけばいいのだろうか。その鍵を握っているのは、文化的に異なるバックグラウンドを持つ世界各国の若い人たちの感性にありそうだ。【中西奈緒、写真も】

若者が関心寄せるスタイルも

二世週祭では初となる着物だけに限ったファッション・イベントがこのほど全米日系人博物館で行われた。会場には世界有数のファッションショーさながらに、レッドカーペットでランウェーがつくられた。集まった観客はおよそ300人。
イベントのテーマは、着物文化を知らない若い世代、特に日系の4世、5世にその魅力を伝えていくこと。伝統的なスタイルから、若い人たちの興味をよりそそるような新しい斬新なスタイルの着物まで幅広く紹介された。
最初に、大きなスクリーンで着物の歴史が平安時代までさかのぼって紹介される。次いで、ハリウッドでも活躍する着物の着付け師でコスチューム・デザイナーでもある押元末子さんが登場し、まず伝統的な振り袖の着付けを披露した。
品格溢れる伝統的な着物の良さを大切にしながらも、デザイン性のあるモダンなスタイルの可能性も追求する押元さん。仕上げの帯は、蝶結びを斜めにしたような「立て矢結び」を独自にアレンジした華やかさだ。

カジュアルに着物を着こなす「原宿スタイル」

カジュアルに着物を着こなす「原宿スタイル」

続いて、始まったファッションショー。初めに男女のモデルが身にまとったのは伝統的な着物と、日本の都会の若者に人気がある「原宿スタイル」。後者は、タンスで寝ていた母親の着物や、古着店などから安く手に入れた着物などを可愛らしくカジュアルに着こなすスタイル。
ショーの終盤には、進化していく未来のスタイルとしてファッション性を高めたモダンな着物の数々が披露された。これらの作品は、ミスユニバースのステージや映画、ファッション雑誌、アカデミー賞やグラミー賞などでも紹介されている。
個性あふれる着物を身につけたモデルたちがランウェーを通るたび、会場は大いに盛り上がった。観客から歓声があがり、その表情は笑顔と

モダンで華やかな歌舞伎スタイル

モダンで華やかな歌舞伎スタイル

ともに着物の持つ斬新な美しさに対する驚きに満ちていた。

着物文化の衰退を防ぐ試み

今回のデザインを担当した押元さんは、着物本来の品格と美しさを残すため、モダンなスタイルでも着物の上半身の衣紋(えもん)の部分は崩さないことをモットーとしている。そんな彼女は、今のままでは着物の伝統が衰退していくのではないか、という危機感を抱いているという。
「着物の伝統を守っていくためには、まずは若い人たちに興味を持ってもらうことから始めなくてはならない。浴衣、古着の着物、今どきの原宿スタイル、ハリウッド女優やファッション雑誌、映画に出てくるようなモダンでファッショナブルなスタイルなど、なんだっていい。若者たちに興味を持ってもらえるようになれば、伝統的な着物文化に自然と目が向くようになる。

振り袖の着付けを披露する押元さん(左)。仕上げの帯はモダンにアレンジした「立て矢結び」

振り袖の着付けを披露する押元さん(左)。仕上げの帯はモダンにアレンジした「立て矢結び」

着物職人や着物文化そのものを守っていくためには国を問わず、若者が魅力的だと感じるような新しい着物スタイルを提案していくことが大切。逆説的に言えば、主に海外で注目を集めるモダンなスタイルは、日本の伝統的な着物を守っていくうえで、ひとつの重要な役割を担うことになるのです」と、押元さんは自分の使命について熱く語った。

盛況に終わった二世週祭初の着物だけのファッション・イベント。しかし、大きな課題も残った。
イベント企画者もデザイナーの押元さんも「若い人たちに着物の魅力を伝えたい」という共通した気持ちで臨んだにもかかわらず、若い世代の参加者はほんの1〜2割にとどまった。企画

バラエティーに富む着物に見とれる観客

バラエティーに富む着物に見とれる観客

担当の一人ジョイスさんは、その原因として、イベントの企画提案力と若い世代へ向けた宣伝広報の遅れを指摘している。
「来年の第75回の二世週祭も何らかの形で、若者に日本の伝統を伝えるファッション・イベントを企画したいと考えている。今回の反省を生かして、もっと多くの若者が参加できるように早めに準備をしていきたい」とした。

 

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