詩吟の未来

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 二世週祭締めくくり行事とも称される恒例の「南カリフォルニア詩吟連盟、吟詠大会」が盛会のうちに催され、私も吟士のひとりとして参加した。着任早々の堀之内日本国総領事ご夫妻はじめ、各分野からの来賓のご出席、さらに今年の二世クイーンも姿を見せ、会場をわかせてくれた。各流派から120名ほどの吟士が登壇し、日ごろの研さんの成果を発表し、観客を含め200名近くの人たちが和気あいあいの雰囲気で終日交流を深めた。これだけの大会を実行するにあたり、昨年から準備をスタートさせ、各派の調整、会場手配など、献身的に尽くされた役員、担当流派、ボランティアの諸氏に心からの敬意を表したい。
 東洋古今の偉人、賢人や詩仙・詩聖たちが磨きぬいた言葉で綴った漢詩に日本独特の節付けをした詩吟は奥の深い日本古来の伝統文化だ。詩吟によって中国、日本の歴史を知り、漢字に親しむと同時に、腹の底から声を出して詩を吟ずる呼吸法は内臓を強くし、身体内から活力を生み、その上ストレスの解消にも役立ち、心身最高の健康法のひとつといえよう。しかし他方、詩吟には古臭いバンカラ書生が蛮声を張り上げて高吟するといった古いイメージもあり、若い世代から敬遠されがちだ。
 今回の吟詠大会は華やかで盛大に盛り上がったが、各流派ともに会員数の減少に直面していると聞く。若年会員の入門減によるのではないだろうか。若者に受け入れられない文化に将来は期待できない。最近は尺八、琴、鼓などによる伴奏付き、カラオケ時代に合わせた工夫もなされるようになっている。しかし、今の日本人に漢文調の読み下し文がどれだけ理解できるだろうか。特に歴史などに疎い今の若者にとってほとんどの詩吟は雑音で退屈なものに近いかもしれない。
 伝統文化としての詩吟本来の基本はきちんと守りながらも、時代の趨勢(すうせい)にも合わせた詩吟の形式を工夫することはたいへん難しい作業だが、詩吟文化を今後も継続発展させるため、たとえば詩の領域を広め、誰にでも理解できるものも加えたらいかがだろうか。そうすれば若い世代の心を捉え、詩吟の前途は明るいと期待を込めて思っている。【河合将介】

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