難しい合いの手

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 仕事中、BGMがわりにオペラなどをiTunes Radioを通じ、ヘッドホンで聴いている。言葉が分からないからBGMにぴったり。普段耳鳴りがひどいが、音楽が流れていると、この耳鳴りもなんとなく無視できるので精神的にもよいし、大声のおしゃべりやまわりで流れる聴きたくない音楽もシャットアウトしてくれる。
 流して聴く分には非常にいいのだが、たとえそうでもオペラのアリアごとの盛大な拍手と「ブラボー」の掛け声はとても気になる。確かに有名どころの歌手が歌うアリアは素晴らしい。が、その素晴らしいアリアが終わるか終わらないうちに「ブラボー」では楽しみも半減ものだ。
 かくいう僕もしばらく拍手のタイミングが分からなかった。で、気付いたのは、分からない時は一拍待って他の人に合わせる。これですよ。パラパラの時はちょっと待ち、盛大に鳴ったら追従する。
 ちゃんと勉強して音楽を理解できればそんな苦労などないのだろうけど。
 演奏者にしたら、変なところで拍手されると気分をはずされたようで次にいくのに難しいのでは、と思う。
 テナーのAlek Shraderのリサイタルに行った時のことは以前書いたことがあるが、このリサイタルはチャリティーをかねたコンサートだったせいか、客は僕と同程度の知識の持ち主たち(だろうと思う)。プログラムにどんな曲かは説明されていたから、曲ごとに違うストーリーからとはっきり分かるものは拍手もしやすいが、2〜3曲が同じストーリーからだと拍手をしていいのか悪いのか。で、迷っているうちに本当に場内がシーンとしてしまった。拍手の機会をなくしてしまったのだ。
 拍手する側は「しまった」くらいで済むが、拍手があって当然の場面でまったく無かった時のShrader氏は一瞬ゾっとしたのではないかと思う。幸い、勇敢な人が拍手を始め、僕ら無学人もちょっとてれ笑いしながら真似したのであった。
 かくも難しい合いの手、何でもかんでも「ブラボー」できる肝っ玉の持ち主がうらやましい、と思いつつBGMを聴いている【徳永憲治】

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