分かち合う大切さ

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 ここのところ、立て続けに認知症にかかわる取材を3件担当した。6年前には、「消えゆく記憶の中で」と題し、認知症と診断された夫や妻、母を介護する家族の体験を取材し、3回にわたるシリーズで紹介した。
 経験者の話を聞く中で、記憶を失いはじめた時の本人の不安や苦しみ、そして混乱もさることながら、長年にわたり築き上げてきた思い出が徐々に薄らぎ、他人のようになっていく愛する人を目の当たりにしながら、懸命に介護に励む家族の精神的な負担に心が痛んだ。
 米国アルツハイマー協会が2013年に発表した調査結果によると、アルツハイマー病やその他認知症と診断された人は全米に約500万人おり、その介護にあたる人は1550万人にも上る。
 介護者が2013年の1年間に介護に費やした時間は計170億7千万時間にもおよび、これを給料に換算すると2200億ドル。これは、マクドナルド社の2012年の総収入の約8倍にあたるというから驚きだ。
 取材に応じてくれた介護者のほとんどが、「病気だと分かっていても、ついつい健康だった時と比較してしまい、かつてできたことができないことにイライラしてしまう」といい、声を荒げてしまった後に自分を責めることが多々あると話してくれた。
 変わりゆく愛する人の姿を前に、症状の進行を止める革新的な薬や手段がないことから、介護にあたる人の約60%が精神的ストレスを感じており、うち3分の1にうつ病の症状が出ていることも分かっている。
 そんな介護者に深い理解を示し、精神的なサポートや介護に有益な情報を提供してくれるのが、介護者のための支援グループ。同じ境遇の中で葛藤する者同士、気持ちを分かち合い、支え合える貴重な場となっている。
 ロサンゼルスでは、リトル東京サービスセンター(213-473-3035)がダウンタウン、サウスベイ、サンファナンドバレーの3カ所で、またオレンジではオレンジ郡日系協会(714-283-3551)がそれぞれ日本語による支援グループを開いている。認知症は誰でもなる病気。「もしや」と思ったら、ぜひ参加してほしい。【中村良子】

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